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《カンテでは出していないお茶5種》

2007年のある日、朝日放送の「ビーバップ・ハイヒール」の担当の方から「お茶の特集に使うカットを撮影したいのですが・・・」という依頼があった。「カンテさんの取材ではないので申し訳ないですが、作ったお茶を撮影したいので・・。」ということでした。

最近お茶のページを作ってなかったし、勉強にもなるかな・・・というのもあったので、引き受けた次第です。それに撮影しているところを見るのも楽しいかなというのもあったし。

依頼があった5種類のお茶は、カンテでは出してないものもあるし、出していても形が違うものがあったので、すべて僕が厨房でアレンジして作ることにしました。

で、前日に予行演習を兼ねて撮影をしてページを作ってみたのが以下の記事です。


まず、一つ目は・・・

《チャイの素焼きバージョン》

テレビ局の担当者の方は、なぜかこのインドの素焼きの器にこだわっていましたので、カンテで売ってる(少し小さめの)器にチャイを入れてみました。

見た目はすごくいいしチャイの味も別段変なところもないんだけど、素焼きの器の匂いが強烈でちょっと抵抗ありました。仕事が終わった後の安達さんにも飲んでもらいましたが、僕と同様おいしそうではなかったですね。
僕自身インドではグラスでしかチャイを飲んだことがないので、インド通のバイトに訊いたら「インドでは気にならなかったですけど。」という返事。
そうなんでしょう、たぶん。


次は・・・

《チベット(チベタン)茶》

何年か前までメニューにあったんだけど、飲みにくいのでメニューから消えたのがこのチベタン茶。チベットで飲まれているお茶をカンテ流にアレンジしたもので、これを再現してみました。

使った茶葉は、「雲南七子餅茶(しちこへいちゃ)」・・上等のプーアル茶です。
これを手でほぐして湯で戻し、お茶が出たらミルクを加え、バター(現地ではヤギの乳で作ったギーを使う)と塩ひとつまみで味を整えてできあがり。

今回ちょっと塩を入れ過ぎたみたいで、バイトの安達さんも向山さんも変な顔になりました。「しおっからっ!」
海水浴をしてて誤って海水をしこたま飲んでしまった・・そんな味です。
昔はもっとおいしく出来たのになあ。ふたりとも、ゴメン。


三つ目は・・・

《モロッコミントティー》

これはカンテでも出しているお茶ですが、今回は辰巳さんが現地で買ってきてくれたポットと茶葉を使って作ってみました。

用意するのは、「ガンパウダー」という名の中国緑茶と乾燥ミントと生のミントと氷砂糖。下の茶葉がガンパウダー(火薬という意味)。

これをポットに入れてお湯を注ぎます。


グラスには氷砂糖と生のミントの葉を入れてます。
お茶の味は苦めなので氷砂糖の甘さがちょうどいい。

余談ですが、先日、辰巳さんからメールが来て「カンテのモロッコミントティーは現地のよりおいしい。」って書いてましたね。現地では上で紹介しているガンパウダーを使ってるんですけど、カンテでは緑茶に近い烏龍茶を使っていて日本人にはこちらの方が向いてるみたい。


だんだんとおいしくなって、次は・・・

《ロシアンティー》

ロシアの紅茶は、ミルクを入れず、ジャムをなめながら煮出した紅茶にお湯を注いで濃さを加減します。カンテでは、鍋にアプリコットジャムとマーマレードジャムを入れて溶かし、火を止めてセイロン茶を入れて1分ほど蒸らしてからカップに注いでいました。甘さの加減はジャムの比率で変化させます。

仕上げは、ブランデーを数滴垂らして香りも楽しみます。

ちょうど食事中だった川瀬さんに差し上げましたが、これはおいしくできました。
カンテではレモンスライスも載せていましたが、僕はこれで十分。


最後は・・・

《ロイヤルミルクティー》

ミルクをたっぷり入れた紅茶のことをこう呼びますが、日本だけの呼び名のようです。作り方は色々あって、チャイのように煮出すものからミルクだけでいれるというのもあるそうですが、今回は「現代紅茶用語辞典」に書かれている方法でいれてみました。

同量のミルクと水を鍋に入れて沸騰したら火を止め、写真下の、お湯に浸したディンブラを加え、フタをして3分間蒸らせばできあがり。なぜディンブラを湯に浸すのかというと、牛乳の中に入れると紅茶の液を抽出しにくいから、先にお湯で出しておくというわけですね。

これ、かなりいいかんじに出来ました。

今回の5種類の中ではこれが一番気に入りましたね。
ポットを持ってない人にも、これなら勧められます。

さて、明日はあわてず、これらを作れるかな?



撮影当日、準備万端整えて応対したので、別に問題はありませんでした。撮影もスムーズに行われ、この模様は3月に入ってから放送される予定だそうです。
上の写真と違うのは「チャイの器」をひとまわり大きいのに代えたのと、ブランデーがウォッカに代わったところ。それ以外は僕の撮影したものと同じです。
僕はどこにも写ってませんが、時間があればご覧下さい。

ところが、それから数日後「残念ながら、この番組の企画自体がボツになって、申し訳ありませんが放映はなくなりました。」と電話があった。
う〜ん、だからテレビって嫌いだ!!

(この記事は2007年からの抜粋です。)








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