[ 神原通信 ]
2024年8月29日(木)
<プレイリスト『ENDLESS SUMMER 2024』>
ディズニープラスで配信されている「The Beach Boys : Music From The Documentary」のサウンドトラックがappleミュージックで配信されています。
ドキュメントはそれほど関心がなかったから観なかったけど、このサウンドトラックは不思議に聴きやすくて、最新のベストアルバムもいいけど、このモノラルとステレオの中間のような音と選曲は、彼らのベストアルバム「エンドレス・サマー」に肉薄する出来だと思います。
ただ、誰しもそうだけど、自分好みの選曲っていうのがあって、よりベターな順番に変えてみたのがこのプレイリストです。
appleミュージックを聴いている人は是非聴いてみてください。
2024年8月26日(月)
<撮影監督>
観たい映画を探す時、演出家、脚本家、撮影監督で選んだりします。特に僕は映像に興味があるから、ストーリーよりも監督やキャメラマン中心に観てしまう。
極端な例だけど、溝口健二監督は、撮影監督が宮川一夫だった時はカメラのファインダーを覗かず演出に専念したそうだ。それほど信頼を置くキャメラマンてどんな人なんだろうと思いますよね。
「2003年、ICG(国際撮影監督協会)は映画撮影史上最も影響を与えた人物として下記の11名を選出した。」そうで、その11人のプロフィールを調べてみたのが下の表です。
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主な作品 |
ビリー・ビッツアー |
D.W.グリフィスの映画 |
ジョーダン・クローネンウェス |
1935年生まれ
「ローリング・サンダー」「ブレードランナー」
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コンラッド・L・ホール |
1926年生まれ
アカデミー賞撮影監督賞を「明日に向かって撃て!」「アメリカン・ビューティー」「ロード・トゥ・パーディション」と3度受賞している。 |
ジェームズ・ウォン・ハウ |
1899年中国で生まれ、ハリウッドで活躍した。
「愛しのシバよ帰れ」「ピクニック」「愛すれど心さびしく」 |
グレッグ・トーランド |
1904年生まれ
ジョン・フォード、ハワード・ホークス、オーソン・ウェルズ、キング・ヴィダー、ウィリアム・ワイラーの作品に参加。 |
ハスケル・ウェクスラー |
1922生まれの映画キャメラマン、撮影監督、映画監督。
「夜の大捜査線」「アメリカを斬る」(監督) |
ゴードン・ウィリス |
1931年生まれ
「ゴッド・ファーザー」「夕陽の群盗」 |
フレディ・ヤング |
「アラビアのロレンス」 |
ヴィルモス・ジグモンド |
1930年ハンガリー生まれ
「さすらいのカウボーイ」「ディア・ハンター」「未知との遭遇」 |
スヴェン・ニクヴィスト |
1922年生まれ スウェーデンの撮影監督
「叫びとささやき」「ギルバート・グレイプ」 |
ヴィットリオ・ストラーロ |
1940年生まれ イタリアのキャメラマン、撮影監督
「暗殺の森」「地獄の黙示録」 |
どの映画も観たくなります。(観た映画はもう一度観たくなる。)
僕の年代だと、ヴィルモス・ジグモンドとゴードン・ウィリスかな。やっぱり「ゴッド・ファーザー」はすごい。今度ブルーレイで買うつもりです。
2024年8月23日(金)
<『マラソンマン』>
「真夜中のカウボーイ」4Kレストア版を買おうと思ったんだけど¥4,245という価格なので止めた。販売元がKADOKAWAなので、当分は安くならないだろうなぁ。特典映像も無いし。
というわけで、同じシュレシンジャー監督の「マラソンマン」(¥1,200)を買いました。
ブルーレイ画質★★★★☆
画質はあまり良くなかったですね。レストアしてないみたいで、ブルーレイにしては暗い。
最初は「恐怖の報酬」のような「何をやっているのか分かりにくい」展開でしたが、「次にどうなるんだろう」という見せ方が面白くて、125分の映画だけど一気に観れた。
このブルーレイを買った理由は色々あって、
1)久しぶりにローレンス・オリビエとダスティン・ホフマンの演技が観たかったこと。
ローレンス・オリビエは特に好きな俳優と言うわけではないんだけど、「バニーレークは行方不明」での警部役がすごく印象的だったので、今回はどうなのかな?と。
ダスティン・ホフマンは、まあ、いわゆる演技派ですよね。役に入り込むことで有名なんだけど、「わらの犬」では、役について監督のペキンパーに意見を求めたら、ウザがられたと言う話が面白い。
2)アクの強い顔のウィリアム・ディヴェインが出てること。
「ローリング・サンダー」という伝説的に面白いとされている映画(僕は未見)の主人公だし、どんな俳優かなと。この映画でもかなり濃い役柄の人でしたね。こういう人好きですねぇ。
3)レビューが高得点だったこと。
買うときのレビューは大事です。外れるときもあるけど。
4)撮影がコンラッド・L・ホールだったこと。
彼の事を調べていたら、「アカデミー賞撮影監督賞を『明日に向って撃て!』『アメリカン・ビューティー』『ロード・トゥ・パーティション』と3度受賞している。」
「2003年、ICG(国際撮影監督協会)は映画撮影史上最も影響を与えた人物としてビリー・ビッツアー、ジョーダン・クローネンウェス、コンラッド・L・ホール、ジェームズ・ウォン・ハウ、グレッグ・トーランド、ハスケル・ウェクスラー、ゴードン・ウィリス、フレディ・ヤング、ヴィルモス・スィグモンド、スヴェン・ニクヴィストと並んで ヴィットリオ・ストラーロを選出した。」
など、興味のある事実が出て来たんです。
この映画を観たかぎりにおいては、どこがいいのか分からなかったので、もう一回観てみるつもり。
2024年8月20日(火)
<最近のプレイリスト『Run To Me』>
1曲目:「Whispering Pines/ザ・バンド」
ザ・バンド、究極の名作です。ボーカルはリチャード・マニュエル。3人のボーカリストがいるこのグループで、リチャード以外のメンバーに「ボーカルは誰?」と訊くと「リチャード」と全員が答えるほどの「魂のボーカリスト」。僕はザ・バンドのファンとしてはかなり隅っこにいるんですが、この曲はずっと聴いてて「ザ・バンドのファンでよかった」と思える1曲です。
途中で右の方からレボン・ヘルムのボーカルが小さく聞こえて来てリチャード・マニュエルとの掛け合いになるところが何度聴いても泣かせます。
曲名は「松林のささやき」なのかな?ある説では、詞を書いたロビー・ロバートソンの故郷(カナダ)の風景だとも言われてたりしますが、訳詞を読んでもよく分からないし、だけど、リチャード・マニュエルの「寂しさ」だけは伝わってきます。
2曲目:「Run To Me/ビージーズ」
ビージーズの曲は、最初ピンと来なくてもじわじわと耳について「クセになる」ものが多い。
この曲もそういった部類の曲。
初期の作品なのであまり気にも留めてなかったんだけど、コーラスがかなり凝ってるし、後半の「終わらない繰り返し」が「もう一回聴きたい」気持ちを誘いますね。
僕の勘違いかもしれないけれど、テレビのとあるドキュメントのラストに使われていたように思います。
番組が終わる前にこの曲が流れ始め、エンド・クレジットにかぶさるように流れて来るんですよね。そして曲の盛り上がりとともに終わる。僕がもしドキュメントを撮ったら(いつ?)使わせてもらおう。
3曲目:「レインボウ・コネクション/カーペンターズ」
「セサミストリート」のカーミットの歌う曲をカバー(?)しています。だから、おもちゃのピアノとかが入ってる。女性ボーカルはすぐ飽きる僕なのに、カレンの歌声だけは飽きない。色々かんがえるんだけど、なぜなのか分からない。くせがない、音程が外れない、性格が良さそう(笑)。
4曲目:「レインボウ・コネクション/カーミット」
カーミットはバンジョー弾きなんですよね。語るような歌い方。
5曲目:「Penetoration/ザ・ピラミッズ」
べンチャーズの「ペネトレーション」の方が有名だけど、その元ネタのこちらは、抑えた演奏が好きです。
彼らの曲でこれもおすすめ。「ピラミッズ・ストンプ」・・間奏のドラムがかっこいい!
6曲目:「Boats Against the Current/エリック・カルメン」
最初聴いた時、あまりにも「歌い上げる」ので敬遠してたんですが、聴き直したらクセになりました。
「流れに逆らう小舟」・・なんか意味深です。スコット.フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」(華麗なるギャツビー)の結末の原文からとられているそう。
かなり絶望的な歌い方なんですが、最近の僕の心情も「かなり絶望的」なので波長が合って来たみたい。深い意味はないです。僕はもともと「根暗」ですから。(笑)
2024年8月17日(土)
<『ウンベルトD』>
まさか、Amazonのプライムビデオにこの映画が出るとは!
僕が中学生の頃(1970年頃)、土曜日の4時頃だったと思うけど、家のテレビで(NHKの映画劇場で)この映画をひとりで観たんです。
ラストであまりにも感動したせいか、誰かとこの映画について話をしたかったんだけど、誰も観てなくて、熱い気持ちを抑えたまま、今まで生きてきたのでした。
ただ、こういう感情って初恋の人に何年かぶりに会って「あれっ?」と思うようなものかもしれませんね。ちょっと印象が違ってた。
(ここからはネタばれになります。)
時は第二次世界大戦後(だと思う)のイタリア。
わずかな年金の引き上げを求める高齢男性の街頭デモを警察が分散させる。デモの一人が主人公のウンベルト·D·フェラーリ。引退した政府の労働者である。彼は年金暮らしで犬を飼っている。
年金だけでは生活ができず、家賃を滞納するように。家主からは「出て行って欲しい」と言われ、知人に借金を頼むも断わられる始末。
次の年金まで病院で暮らしたり、時計を売ったりしながら食いつなぐが、病院から帰ってみると、借家に住んでるメイドに預けた犬が脱走して、あわや殺処分されそうになるも助け出すが、家に帰ってみると壁を壊され寝る事もできなくなってしまい、絶望的なウンベルトは自殺を考えるようになり、犬とともに借家を出て行った。
街を彷徨ううちに犬だけでも助けてやろうと思うが、誰も引き取ってはくれず、疲れ果てたウンベルトは犬をかかえ、電車を待つ。
やがて、向こうから電車がやって来る。
犬は鳴き声とともにウンベルトの腕から逃げ出し、ウンベルトは電車に飛び込む事が出来ず砂埃を浴びて立ちすくむ。
我に戻ったウンベルトは、逃げた犬を見つけ名前を呼ぶが、近寄っては来ない。
僕の記憶では、ここで映画が終わってた。
なんて哀しい結末なんだろう。涙が止まらなかったのを憶えている。
しかし、僕の記憶違いでした。
何度か犬の名前を呼び続けると犬は次第に近寄って来て、ウンベルトは犬をあやしながら通りの向こうへと遠ざかって、この映画は終わるのです。
半世紀ぶりに見返して、一抹ではあるけれど希望のある結末でよかった。
しかし、今回は泣かなかった。
あまりにも現実過ぎて(身につまされて)泣けなかったのかも。
犬の名演技には脱帽ものです。
Wikipediaによると・・・
『ウンベルトD』1952年のイタリア映画。日本公開は1962年。
監督はヴィットリオ・デ・シーカ。この作品を自身の父親に捧げた。
出演している俳優のほとんどが素人である。
マーティン・スコセッシは1999年のドキュメンタリー『マーティン・スコセッシ 私のイタリア映画旅行』で同作を取り上げ、「為すすべもなく立ちつくすとはどういうことかを描いている。デ・シーカからの大切な贈り物だ。彼の父親と、われわれへの。」とコメントした。
2024年8月16日(金)
<『男たちの大和/YAMATO』>
毎年8月になると、こういう類いの戦争映画を観てしまいます。去年は「永遠のゼロ」とか。監督は佐藤純彌。「新幹線大爆破」の監督ですね。観てないけど。
公開は2005年。出て来る俳優がみんな若い!
反町隆史、中村獅童、松山ケンイチ、鈴木京香、奥田瑛二、林隆三、渡哲也、仲代達矢・・・
みんないい演技してくれています。
普通、日本の戦争映画というと「山本五十六」とか上層部の話が多いけど、これは「少年兵」を中心にした物語。僕はこういう映画の方が好きですね。高校時代に「年少特別兵」という映画を観たけど、わんわん泣きました。
この映画で初めて知ったのは、大和の最後は「沖縄特攻」だったんですね。一機の戦闘機の護衛もなく戦地に赴き、600機の米軍の戦闘機の銃撃に会い沈没。
僕は戦車ファンなのに、2012年になぜか買ったムック本「戦艦大和の真実」を読み返すと、大和は現在の金額に直すと1兆円の建造費だったらしい。「トラ・トラ・トラ!」でも分かるように、飛行機による銃撃に弱い戦艦をなぜ造ったのか。それは「過去の栄光」があったから。戦艦同士の闘いなら大和は負けなかったのかもしれないけど、それは「時代錯誤」だったとムック本に書いてありました。
さて、「ゴジラ−1.0」もある意味戦争映画ですが、ゴジラ以外の演出が最低でした。ちゃんとした役者も出ているのに、演技を纏め上げ切れてないのは監督の責任ですね。役者に任せっきりな感じ。「ゴジラ映画」にドラマを期待した僕がバカでした。だって高田君が「面白かった」って言うんだもん。1作目の「ゴジラ」とどこが違うんだよ!
2024年8月15日(木)
<『ローレルキャニオン 夢のウェストコースト・ロック』>
ウェストコースト・ロックの聖地、ローレル・キャニオンにスポットを当てたドキュメンタリー。
僕が観たのはAmazonVideoなので120分ですが、米国放映では157分ヴァージョンだったらしい。
2020年公開。
「1960年代半ばから70年代にかけて、アメリカ西海岸を拠点とするミュージシャンたちによって生み出されたウェストコースト・ロック。アコースティックを基調とした演奏スタイルと、叙情的なメロディやハーモニーを重視したサウンド作りで、日本でもブームを巻き起こした。
ロサンゼルス中心部にも近いローレル・キャニオンには、ザ・バーズ、ママス&パパス、イーグルスなど多くのミュージシャンが引き寄せられるように移り住み、数々の名曲を生んだ。
膨大なフィルムライブラリーから厳選された貴重な映像や写真と共に、アーティストたちがその歴史と功績を振り返る。
監督は「駆け足の人生 ヒストリー・オブ・イーグルス」で注目を集めたオーストラリア出身のアリソン・エルウッド。」
冒頭、写真家のヘンリー・ディルツが出て来て、話を始めた。彼は、フォークグループ「モダンフォークカルテット」のメンバーとしてLAのローレルキャニオンにやってきた。同じ頃、ザ・バーズのメンバーやデビッド・クロスビーが引っ越して来ることになる。これがいわゆる「ウエストコーストサウンド」の始まりだ。
スライド映写器用のマウントに入れられた当時の写真が写される。ネガではなくリバーサルフィルムなので、素晴らしくきれいだ。ヘンリーは、ミュージシャンをしながら同業者をどんどん撮影しはじめ、彼らのアルバム写真まで手がけるようになる。後年、写真集となって売られていたが今は入手が困難なようだ。僕も持っていない。
1960年代半ばと言えば、ボブ・ディランの絶頂期。当時の若者は彼を目指してギターを始める。
ザ・バーズは1964年に結成。1967年にバーズを脱退したデビッド・クロスビーはスティーブン・スティルス、グラハム・ナッシュと1968年「CS&N」を結成。1970年にニール・ヤングを加えて「CSN&Y」を結成した。
僕はこの頃まだ小学&中学生だったし、高校では受験勉強や映画を観ていたこともあり「ウエストコースト」の洗礼を受けてない。ただ、家にレコード再生装置(ステレオ)があった宇高君がかろうじてニールヤングの「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」を持っていたので、聴かせてもらったことがあるぐらい。
1971年にウェストコーストサウンドの象徴的なレーベル「アサイラム・レコード」が誕生し、ジャクソン・ブラウンがデビュー。所属していたリンダ・ロンシュタットのバックバンドとして出発したイーグルスも1971年のデビューだ。
僕が大学生になったのが1973年。ロックの情報誌「ニュー・ミュージック・マガジン」では、イーグルスのデビュー記事やCSN&Y、ジョニー・ミッチェルの記事などウェストコーストの話題であふれかえっていた。
同年秋、僕は自力でステレオ装置を買い、ジャクソン・ブラウンの「フォー・エブリマン」を買って一日中聴いていたり、ウェストコースト(アメリカ西海岸)を夢想するようになっていた。
しかし。
イーグルスが1976年に「ホテル・カリフォルニア」を発表したころをピークとして、徐々にウェストコーストの音楽が煮詰まり始め、巨大な音楽産業に飲み込まれるようになり、僕がアメリカ旅行をした1980年には「夢のカリフォルニア」はどこにもなかった。
このドキュメントには、僕の知らない「夢のカリフォルニア」が詰まっている。放浪の末に辿り着いた夢の国L.A.のローレルキャニオン。そこでの夢のような生活。しかし、それは10年ほどしかなかったのだ。
ジョニ・ミッチェル、CSN&Y、バッファロー・スプリングフィールド、ザ・バーズ、モンキーズ、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、JDサウザー、フライング・ブリトー・ブラザーズ
・・・若い彼らの生き生きとした写真や映像を観るとうれしくなってしまう。
でも、その後の彼らの浮き沈みや音楽には、今はもうあまり興味がない。
2024年8月14日(水)
<『トラ・トラ・トラ!』>
ブルーレイ画質★★★★★
<ニュー・デジタル・リマスター版>と書かれているので、画質に問題無し。
1970年に公開された20世紀最後の超大作と言われ、公開直前の1970年8月と9月の読売新聞には、$33,000,000(118億8千万円)と記載された。
ハワイの真珠湾への奇襲攻撃を日米双方の視点から真珠湾攻撃を描こうとした企画で、日本およびアメリカが撮影したフィルムを1ヶ所に集め、編集はすべてアメリカ側で行うという異例のスタイルを取っている。
当初の日本側の監督は黒澤明だったが、日米の映画製作の捉え方の食い違いが黒沢を苦しめ、撮影に入って2週間で監督を降板している。この「降板劇」はWikipediaに詳しく書かれてあるので興味のある方はご覧下さい。
アメリカ側の監督はリチャード・フライシャー。僕がこのブルーレイを買った理由のひとつは彼の監督作だったこと、そしてもうひとつは彼の肉声でこの映画を副音声で解説してくれることにありました。
彼の作品には異色作が多く、僕が観た映画でも『海底二万哩』『ミクロの決死圏』『絞殺魔』『ソイレント・グリーン』『見えない恐怖』『ドリトル先生不思議な旅』『マンディンゴ』などどれもきちんと映画の面白さを見せてくれます。
この映画自体は「名作」とまでは行かないけど、それなりに楽しめる映画ですね。
今では到底できない実機(プロペラ機)によるアクションは目を見張るし、出て来る俳優たちがいい演技を見せてくれるし、往々にして、大作は物語の流れが悪かったりするものだけど、この映画は職人監督と言われるだけあって見せ場に破綻がない。
ただ、日本側の撮影シーンはやはり中途半端としかいいようがない。いい役者をふんだんに使い、じっくりといい演技をしているにも関わらず、この映画の添え物程度にしか感じられない。だからといってこの映画はつまらないとは思わない。観ている僕(日本人)が「こんなのは日本人じゃない」と思わなかっただけでも、この映画はある意味素晴らしいのかもしれない。
リチャード・フライシャーの解説で面白かったのは、日本側の撮影したフィルムをラッシュで観て「あまりにも演技過剰なので、もう少し抑えてくれと頼んだ」そうだ。
2024年8月4日(日)
<『ローカルヒーロー』>
Amazonビデオ★★★★☆
こんなタイトルや画像では全くストーリーが想像できないんだけど、バート・ランカスターが出ているので前知識なしで観てみました。
最初の数分でだいたい分かって来た。土地開発に絡んだ物語っぽい。となるとラストもだいたい想像できる。でも、なんか変な感じ。
割と俳優の表情を見せるゆっくりとした展開なので、そのテンポと波長が合うと、次の展開が気になりだす。
結果的には、「いい映画を観た」っていう気分にさせてくれました。
「イギリス映画ならではのユーモアに溢れた傑作。英国アカデミー賞では6部門にノミネート、監督フォーサイスは監督賞を受賞。」
これはクライテリオン版のポスターですが、こっちの方がイメージに合ってるかな。
2024年8月3日(土)
<ロックって何だ?>
難しい話じゃなくて、ネットサーフィンしてたら下のようなYouTubeがあったんですよ。
【今日の名盤】ザ・ビーチボーイズ「ペットサウンズ」が愛される理由 - The Beach Boys / Pet Sounds -
どんな「愛される理由」をしゃべってくれるのかなとか思ったら、全く逆で、ビーチ・ボーイズファンの僕が我慢できなくなるぐらい「クソ野郎」のペットサウンズ解説で、「僕の認識では、フィル・スペクター風の良く出来たポピュラー音楽だと思うけど、これってさあ、ロックじゃないよね。」とか、「ビーチボーイズは過大評価されてる」とかなんとか。
ロックじゃなかったらダメなの?だったら僕は君の薦めるロックなんか聴かないよ。
ネットサーフィンして20年以上になるけど、こんな馬鹿げた解説を聞いたのは初めて。
まあ、世の中には、こういう風にしか考えてない人がたくさんいるんだと思うと悲しくなる。
人それぞれだけど、僕にとっては「ロックって音楽の仕組みのことじゃなくて、生き様(いきざま)のこと」だったりする。
それが人によって「ジャズ」だったり、「ポップス」だったりするだけだ。
自分がいいと思う曲を聴いて、人に勧める。
相手がいいと思わなかったら、合わなかっただけのこと。
ことさら、どこが悪いとか言う必要はない。
ああ、ひさしぶりにムカついた。
口直しにこれを聴きます。
これは『Behind The Sounds』というYouTubeで、「ペット・サウンズ・セッション」の音を聴きながら、誰が演奏してしているかを教えてくれる、というもの。
いい演奏あっての「ペット・サウンズ」だと改めて教えてくれる企画です。
『Behind The Sounds: I'm Waiting For The Day』
『Behind The Sounds: Sloop John B.』
『Behind The Sounds: You Still Believe In Me』
『Behind The Sounds: I Know There's An Answer』
『Behind The Sounds: That's Not Me』
『Behind The Sounds: Let's Go Away For Awhile』
『Behind The Sounds: Don't Talk』
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