[ 神原通信 ]

 

2021年10月20日(水

<『レディプレイヤー1』>

なんか映画ないかな・・とプライムVideoで探していて、★4.5の「レディ・プレイヤー1」(2018)というのがあった。監督:スティーブン・スピルバーグ?「こんな映画作ってたっけ?」と思ったけど、まあ、観てみたわけです。それが昨日の事。

そして、今朝のニュース。

「フェイスブックは10月17日、今後5年間で欧州連合(EU)域内の人材1万人を雇用する計画を発表したとAP通信が報じた。目標は、新たなコンピューティング・プラットフォーム「メタバース」を実現することだ。 これは、拡張現実と仮想現実を通じてユニークな社会的・経済的機会をユーザーに提供する、未来志向の仮想世界だという。IT各社が開発に力を入れている。」(ゾエ・ストロゼウス)

「レディ・プレイヤー1」は、まさにそんな仮想世界での出来事を描いた映画でした。

「2045年。環境汚染や気候変動、政治の機能不全により現実の世界は荒廃していた。その為スラム街で暮らさざるを得ない状況に陥った地球上の人類の多くは、『オアシス』と言うVR世界に現実逃避し入り浸っていた。

そして、現在オアシス内では、創始者であるジェームズ・ハリデー亡き後公表された彼の遺言により、ゲーム内に隠された3つの鍵を手に入れた勝者にはオアシスの所有権と5000億ドル相当のハリデーの遺産が授与される「アノラック・ゲーム」が開催されていた。

プレイヤー達が日々鍵を手にする為の関門となるゲームに挑んでいたが、始まって5年が経過して、最初の鍵を手に入れるための試練である「レースゲーム」は見つかっていたものの、誰もクリア出来ていなかった。」

これがプロローグで、その後主人公が現れるんだけど、なんかオーラがない。他の出演者たちも、映画も語り口が軽過ぎて何やってるのか、何言ってるのかさっぱり分からなかった。スピルバーグの演出ってこんなんだっけ?そういえば「プライベート・ライアン」も壮絶なシーンに比べて役者たちの語り口は軽かったな。そういうのは好きじゃないけど、重くならないのが彼の持ち味なんでしょうね。

役者に金をかけてない分、CGはすごい。そのすごさって動きもそうだけど、出て来るアバター達のキャラの多さですね。ロボ・コップ、キングコング、エイリアンのチェストバスター、アイアンジャイアント、デロリアン、バットマン、スーパーマン、スーパーウーマン、AKIRAのカネダ・バイク、チャッキーなどなど。「1980年代の大衆文化に対するオマージュが数多く盛り込まれている」のです。彼らの著作権を得るのに相当な時間と金をかけたらしいけど、そのおかげで興行収入は「スピルバーグ監督作品としては最高のものとなった」そうです。

中でも、僕が一番興奮したのは「ガンダム」ですね。僕はガンダム世代じゃないけど、「俺はガンダムで行く!」という日本語の台詞とともにCGのガンダムがCGのメカゴジラと闘うんですよね。時間は短かった(3分)けど素晴らしい出来でした。
それに比べて、話の展開のなんとも軽い事。結末なんてどうでもよくなってました。

映画を見終わったあと思ったのは、こんな映画、スピルバーグじゃなきゃ実現出来なかったんじゃないかな。スタッフを程よくコントロールして、観る人を飽きさせない(140分もある)のが彼のすごいところでしょうね。

 

 

2021年10月14日(木

<そして誰もいなくなった、のかな?>

先々週の、もひとつ前の土曜日の午後、自分の部屋でYouTubeを観ていた僕は、テレビを観ていた奥さんに呼ばれたのでした。

「これから『刑事コロンボ』をやるから観ない?」

うちの奥さんは大のコロンボ・ファンで、アマゾンで「刑事コロンボ」のDVDコンプリート盤を狙っているほど(中古で約1万円)。同じ作品を何回も観直しています。この番組は最初から犯人が分かっているので、毎回コロンボと犯人とのやり取りを楽しんでるんですよね。

さて、4時40分からNHK BSプレミアムでシーズン1の『刑事コロンボ』が始まった。タイトルは「構想の死角」。(この作品は、1972年11月26日NHKより放映された『刑事コロンボ』の三作目で、日本ではこの作品よりシーズン1として7作品放映されている。)

毎回ゲストには大物スターが登場するんだけど、この回の犯人役はジャック・キャシディ。日本ではあまり知られていないけど、デビット・キャシディ(彼ももう忘れられているかも)のお父さんだ。コロンボはどの作品も最初からゲスト・スターが犯人だとにらんでいるんだけど、証拠が出て来るまでじっと待つ。そして、最後は「犯人を言い負かして」終わる。(笑)
で、今回のエンド・タイトルを見てたら、演出は、スピルバーグだった。

ところで、その後毎週、コロンボを観ていたこともあって、プライムVideoでピーター・フォークが出ている映画「アンツィオ大作戦」(1968)があったので、観てみました。
「大作戦」といいながら派手な戦闘シーンは出て来ず、最後は主演のロバート・ミッチャムともう1人が生き残って「戦争とは・・・」と自らの哲学を披露して終わるという、なんともフラストレーションの溜まる映画でしたね。ピーター・フォークは重要な役で出ていましたが、この公開年に「刑事コロンボ」が始まっていたので、その影響で役が決まったのかな?

さて、もう1本ピーター・フォークの出ている映画で、前から気になっていた名優揃いの「名探偵登場」も観てみました。

名探偵

ウィキの解説では「1976年公開のアメリカ合衆国のミステリー映画。エルキュール・ポワロやミス・マープル、サム・スペードなどの有名な架空の名探偵らをパロディ化したコメディタッチのミステリー」となっていますが、これはミステリーではなくて完全にコメディです。

話の内容は、「ミステリーマニアの謎の大富豪トウェインは、オカルトめいた仕掛けに満ちた自邸に世界中から有名な5人の探偵(とその助手)を招き、自らが仕掛けた殺人トリックの推理を競わせる。」というもの。

しかし、話の筋は全くのデタラメでかなりシュールな展開。この場に招待された名探偵たちの演技やミステリー小説のパロディーを楽しむための映画なので、それが楽しめなければ何の意味もない、というマニアックな映画になっています。

すごいのは俳優陣で、

謎の大富豪役にトルーマン・カポーティ
盲目の執事役にアレック・ギネス(『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービ役で有名)

『マルタの鷹』サム・スペードのパロディに、ピーター・フォーク
『影なき男』ニック・チャールズのパロディに、デヴィッド・ニーヴン
『シナの鸚鵡』チャーリー・チャン警部のパロディに、ピーター・セラーズ
エルキュール・ポワロのパロディに、ジェームズ・ココ
ミス・マープルのパロディに、エルザ・ランチェスター

と、洋画ファンなら誰でも知ってるメンバーですね。ま、僕はミステリー小説の愛読者ではないので、サム・スペード以外は知らないからパロディ具合が分からなかったけど、役者の演技だけでも、それなりに面白かったです。


 

2021年10月12日(火

<ダニエル・クレイグ>

007の新作が公開される(された)のを祝ってかプライムVideoでは既発表24作をタダで一挙公開しています。なので、ショーン・コネリーの作品群を観たあと、今度はダニエル・クレイグ主演の4作を観直してみました。

  公開年 監督 ダニエル・クレイグの年齢
「カジノロワイヤル」 2006 マーティン・キャンベル 38歳
「慰めの報酬」 2008 マーク・フォースター 40歳
「スカイフォール」 2012 サム・メンデス 44歳
「スペクター」 2015 サム・メンデス 47歳

「カジノロワイヤル」からもう15年も経つんですねぇ。早いもんです。しかし、この映画はガンバレル・シークエンス(銃口の向こうにボンドが現れるシーン)から大興奮の映画でしたねぇ。ショーン・コネリーのボンド以来の衝撃でした。

「慰めの報酬」は、地味な内容だったので評価は分かれますが、僕は好きですけどね。

「スカイフォール」は50周年記念作品ということで、結構派手なので見所多いです。142分と長丁場ですが、アクションがてんこ盛りで充実してましたねぇ。ワーゲンやアストンマーチンをボコボコにしたり、ヘリとの銃撃戦や、若い「Q」が出て来たり、ニヤッとするところも多かった。この映画が歴代1位の興行収入だそうですが納得です。

「スペクター」は前回を超える148分。制作費は3億ドル、興行収入は8億ドルと言われています。ただ、字幕だけを追っていると話がよく分からず消化不良。吹き替えのほうが良かったかな。ダニエル・クレイグはこの時47歳。コネリーは41歳でブヨブヨでしたけどね。

さて、4作品を見終わった後、今年製作されたドキュメント「ジェームス・ボンドとして」を観るとダニエル・クレイグがもっと好きになります。

「ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドとしての15年間の軌跡を率直に振り返る。「007」のプロデューサーであるマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリと対談、未公開映像を交えつつ、クレイグが自身の思い出を語る。」

そこでは、「ボンドにふさわしく無い」といった容姿への前評判があまりにも酷くて、それを覆すには肉体改造して役になりきるしかないと考えたクレイグ。その成果は、海から現れるシーンの肉体美に現れていましたね。製作のバーバラ・ブロッコリの「彼以外にはボンド役は考えられない」とした事に十分答えた形になったのでした。

さて、クレイグがもっと好きになったところで、彼が主演の謎解きミステリー「ナイブスアウト」(2019)を観たんですが、これがかなり面白い。出て来る俳優がどの人も興味深い。ジェイミー・リー・カーティス、クリストファー・プラマー、ドン・ジョンソン、等名優揃いだし。

監督・脚本のライアン・ジョンソンは、「本作を作るに当たって、『地中海殺人事件』、『名探偵登場』、『ナイル殺人事件 (1978年の映画)』、『デストラップ・死の罠』、『シーラ号の謎』、『殺人ゲームへの招待』、『ゴスフォード・パーク』、『クリスタル殺人事件』、『オリエント急行殺人事件』、『Mr.BOO! ミスター・ブー』のような映画作品やミュージカル『Something's Afoot』を参考にした。」そうで、そのせいか話がよく練れているし、ところどころ笑える場面もあります。
ラストも面白いよ。

 

2021年10月10日(日

<子供に還る>

007「ドクター・ノオ」に登場するCIAの捜査官:フェリックス・ライター役のジャック・ロードは、かつて1968年のテレビドラマ「ハワイ・ファイブ・オー」に出ていた人で、この番組のオープニング・テーマをザ・ベンチャーズがやってて、初めて聴いた時、なんてかっこいいんだろうと思っていました。1969年のビルボード・シングル・チャートの4位にランクインしましたが、作曲は実は別の人でした。そうでしょうね。今までの彼らのオリジナル曲とはちょっと路線が違ってたし。でも、かっこいい。

ザ・ベンチャーズ/HAWAII FIVE-O」

ザ・べンチャーズはテレビの主題曲を他にもたくさんカバーしていて、その中に「バットマン」もありますね。

「バットマン/ニール・ヘフティー」(1966)

ベンチャーズじゃないですけど、当時のオープニングテーマ曲で好きだったものを何曲か並べてみます。映像もそれぞれ楽しくて、今観てもワクワクします。

「Joe 90」(1968) 「スティングレイ」(1964)

「タイムトンネル」(1966)

「伊賀の影丸」(1963) 「サスケ」(1968) 「仮面の忍者 赤影」(1967)

「海底人8823」(1960) 

この頃の解説はこの人にお願いしましょう。

【エド山口#101】快傑ハリマオetc…S34年〜S35年の子供番組

 

2021年10月7日(木

<映画『忍びの者』>

007の2作目「ロシアより愛をこめて」が日本で公開されて「スパイもの」が大ヒットするちょっと前に、日本のスパイとも言える忍者の映画が公開されていました。それが市川雷蔵主演の大映映画「忍びの者」(1962年)。

忍びの者

僕自身はこの映画を知ってはいたけどリアルタイムでは観てなかったんですよね。当時小学2年だから、ひとりで映画館に行けるわけもなく、白黒映画だし、なんだか陰湿なイメージしかなかったので。
ところが、先日、「Shinobi no mono」というタイトルで全編公開されているのを見つけたので観てみたんですよ。そしたら、かなりぶっ飛んだ映画でびっくり。

『忍びの者』は村山知義の歴史・時代小説で、戦国時代を舞台に、権力者たちに利用される下忍たちの悲哀と反抗を描いたもので、これに「リアリズムと醜い権力争いの犠牲者という視点を持ち込んだ作品」に仕上げたのがこの映画。
なので、この映画を観ると、忍者の由来とか、どういう生活をしていたのかとか、理念とかを伊藤雄之助扮する忍者村の頭領:百地三太夫が説明してくれるんですよね。この伊藤雄之助の演技がかなり「変」なんです。どう変なのかは映画を観ないと分からないんですけど「変」。

それに加えて、主人公が石川五右衛門なんですよ、あの大盗賊の。彼は忍者村の優等生で、織田信長の暗殺を命じられる。だけど、織田信長が忍者に殺されるわけもなく、彼は任務に失敗するんだけど、任務中に知り合った「マキ」という遊女と恋に落ち「抜け忍」つまり、忍者を辞めようとする。しかし、そんなことが許されるわけもなく、百地三太夫に無理矢理引き戻されるんですが・・・この後は映画を観るしかないですが、一応ハッピーエンドな映画です。

「マキ」役の藤村志保がいいですね。ま、ボンドガールみたいなもんです。

しかし、あまりに面白かったので、「続・忍びの者」も「新・忍びの者」も観たんですが、普通の時代劇になってました。

ま、YouTubeの「忍びの者」は画質が悪いし、英語の字幕が下に入っていて目障りなのであまりお薦めはしませんが、タダだし、お暇な人はどうぞ。

 

 

2021年10月5日(火

<今日の1曲>

「ビーチ・ボーイズの曲はほとんど聴いた事がある」と自負している僕でも、バージョン違いとなると聴き逃しているものがあることに時々気付かされます。今回はそんな1曲。

「カリフォルニア フィーリン」

カリフォルニア

この曲は「The Beach Boys Classics selected Brian Wilson」と題されたベスト盤の中の1曲だったので、曲目を見るまでもなく「買わなくていいんじゃない」と思ったのでした。

ところが今年、Apple Musicでこのアルバムの曲目を見ていたら、この曲の名義がブライアン・ウィルソンになっていることに気付き、聴いてみたらビーチボーイズの曲ではなくて、ブライアンの2002年の「新曲(というか自作自演)」だったのです。

2002年だからかなり高齢のブライアンの声なんだけど、想いを込めた歌い方になっていてすごくいいのです。どういう経緯でこの曲を録音したのか調べてみたけど、詳しい説明はネットに出ていませんでしたが、「どういうアルバムなのか」は分かりました。

「ロックの快楽:ブライアン・ウィルソン/カリフォルニア・フィーリン(2002)」

この中に「長い歳月のなかで失われてしまったなにかを、懐かしんでいるような、そんな曲にも聴こえる。」と書いてあって、僕が感じたことをうまく表現してくれています。

ビーチ・ボーイズ版はこちら
Brian Wilson – lead vocals (first part of first verse)
Carl Wilson – lead vocals (verses)
Bruce Johnston - lead vocals (chorus)
Mike Love - backing vocals
Al Jardine - backing vocals

さて、この曲、「1974年にブライアンが書いた」そうだけど、曲はブライアン、作詞はStephen Kalinichとなっています。この人は誰?ということで調べてみました。

【ステファン・カリニッチ】
Stephen John Kalinich(born 1940) is an American poet mostly known for his songwriting collaborations with Brian and Dennis Wilson of the Beach Boys. In 1969, he recorded his only album, A World of Peace Must Come, with production by Brian Wilson. It was unreleased until 2008.

どうやら詩人&画家のようですね。YouTubeで詩を披露してますが、なんか怪しげな人です。

彼はビーチ・ボーイズの中でも、ブライアンとデニス・ウィルソンと仲がよかったみたいで、特にデニスとはビーチ・ボーイズのアルバム「フレンズ」の「Little Bird」で、デニスのソロアルバム「Pasific Ocean Blue」の「Rainbows」でコラボしてますね。
ちなみに、ブライアンがプロデュースしたとされるアルバムは聴けませんでした。

そんな彼へのトリビュートアルバムというのがあって(知らなかった)、この中の曲にも「California feelin'」がありました。

California Feelin' - (ザ・ハニーズ)2011

このハニーズってブライアンの元妻:マリリン・ウィルソンのいたガールグループのこと?
あと、ブライアンの娘(カーニーとウェンディ)もデニスの曲をやってますね。なかなかに謎だらけの人間関係です。

最後はビーチ・ボーイズ・バージョンをどうぞ(しかもオリジナルバージョン!)

The Beach Boys - California Feelin' (Original Version)

カールのボーカルも素敵です。


2021年10月3日(日

<映画「On Her Majesty’s Secret Service」>

「女王陛下の007」を観ていて「あっ!」というシーンがありました。

サモワール

敵のブロフェルドのアジトがスイスのシルトホルン山頂にあり、そこの屋上でカーリングをやってるんだけど、なんとサモワールが置いてありました。
サモワールとはロシアの湯沸かし器のことで、これで沸かしたお湯を上部にあるポットに入れて濃い紅茶を作ってカップに入れ、筒の下に取り付けられた蛇口から熱湯を注いで濃さを調整するというもの。基本的には屋外で使用するものらしい。ここでは飾りとして置いてるだけで、紅茶を飲むシーンとかはないけど、イギリス映画(英米合作)らしい小道具ですね。

さて、このサモワール、どうやって使うのかというと、YouTubeにありました。

How to prepare Samovar

もっとワイルドな使い方はこちら

Welcome to Russia - Samovar

使っている紅茶は「中国のハイ・クオリティー・ティー」だと言ってますが、本当でしょうか。(笑)

 

2021年10月1日(金

<「You Only Live Twice」>

今日から日本で『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(原題:No Time to Die)が劇場で公開されます。この映画は、昨年完成していたんだけど、コロナ禍の為、三度の延期が発表され今回の公開となりました。

僕の年代(1950〜60年代)のほとんどの人が、このスパイ映画から何らかの影響を受けて育っているはずです。1962年(日本では1963年)以降、毎年のように公開されヒットしたこの映画は社会現象にまで発展しました。
二匹目のどじょうを狙う映画やテレビ番組が雨後の筍のように巷に氾濫し、僕も映画に登場したボンド・カーや水中スクーターのプラモデルで遊んだり、毎日のように放映されるスパイのテレビ番組を夢中で観たり、モデルガンに夢中になったりしました。先日亡くなったさいとうたかお氏もかつて雑誌「ボーイズライフ」で007の連載をしていましたね。「ゴルゴ13」はその延長線上にあるから、その影響力は絶大なるものがあります。

なぜここまで007の映画はウケたのか。それを探るため1作目から7作目までを見直してみました。

  公開年 監督 ショーン・コネリーの年齢
「ドクターNo.」 1962 テレンス・ヤング 32歳
「ロシアより愛をこめて」 1963 テレンス・ヤング 33歳
「ゴールドフィンガー」 1964 ガイ・ハミルトン 34歳
「サンダーボール作戦」 1965 テレンス・ヤング 35歳
「007は二度死ぬ」 1967 ルイス・ギルバート 37歳
「女王陛下の007」 1969 テッド・ポスト ジョージ・レーゼンビー主演
「ダイアモンドは永遠に」 1971 ガイ・ハミルトン 41歳

映画の完成度は2作目の「ロシアより愛をこめて」が一番(監督自身もそう言ってます)ですが、1作目は意外と面白い。まだジェームズ・ボンドが自信満々ではなく、監督のテレンス・ヤングの演出も細かいところに気を配っています。DVDに収録されているメイキングによると、テレンス・ヤングは誰よりもジェームズ・ボンドに近く、彼がショーン・コネリーに作法を教え込んだようです。ショーン・コネリーはまだ役が決まる前に「自分がジェームズ・ボンド?あり得ない」と語っていたらしいが、32歳という若さが初々しい。

1作目がヒットしたおかげで、2作目は倍の制作費を与えられ、俳優やスタッフにも恵まれ印象的なシーンが多い。ロケ地のイスタンブール、トルコ支局長のペドロ・アルメンダリス、スペクターNo.3のロッテ・レーニャの演技 、ロバート・ショーとの列車での格闘、「北北西に進路を取れ」を彷彿とさせるヘリの追跡等。

「ゴールド・フィンガー」は、監督が代わったせい(テレンス・ヤングが断わった)で硬質な感じがしますが、より劇画チックになって、それがかえってジェームズ・ボンドを超人に押しやったようです。

「サンダーボール作戦」は、ガイ・ハミルトンが「ゴールドフィンガー」1本で精魂尽きたらしく、テレンス・ヤングに戻ったのはいいんだけど、この頃には制作費が1作目の10倍近くまで膨らんだのと水中シーンは別の監督に任せたこともあって作品全体の統制が取れず、かなり完成度が低い。

そして、ショーン・コネリー最後の作品と言われた(後に復帰)「二度死ぬ」は、魅力的な構想(火山の噴火口が秘密基地、1人乗りのミニコプター、日本人のボンドガール)とは裏腹に、演出のひどさが露呈。編集にも救われず、マンガ的ともいえるリアリティーのなさが致命的でした。(だけど、007好きの僕は、自分の頭でこの映画を美化しているので、何度も観ていますが。)ショーン・コネリーも37歳で、もう限界でした。

自作の「女王陛下の007」は、第二班監督のテッド・ポストが監督となって、それなりに面白いんだけど、ちょっと安っぽい出来になりましたね。

そして、イオン・プロでのラスト出演となるショーン・コネリー主演の「ダイアモンドは永遠に」なんだけど、もうこれはファンタジーでもなんでもなくて、テレビ番組のようなシラケた映画になりました。当時僕は高校2年生でしたが、この映画を観てあまりのひどさにショックを受けたものです。「金返せ!」ですね、これ。今回見直してもいいとこ無しです。ボンドガールも全然謎めいてないぞ!

ということで、作品の採点はさておき、007映画の流行った理由は、1作目の「ドクターNo」のDVDに入っている音声解説の女性カメラマンの言葉を拝借しましょう。

「客は暗い映画館に入り、娯楽を期待しているの。
ファンタジーの世界、そういう映画が好き。
男も女も楽しませるからシリーズが続くんだわ。
女はボンドが目当て。
常に危険に身をさらし、強敵と戦っている。
傷つき、殺されかけるけど巧みにすり抜ける。
沈着冷静に行動してね。
そして、男が観に行くのは、自分がボンドになりたいから。
日常は普通でもボンド映画を観れば自分をボンドに置き換えてなりきるの。
そんな映画の一瞬一瞬を経験するわけ。
ボンド映画は大好き。
スケールが大きいの。」

全くその通り。

さて、今日のタイトルは映画「007は二度死ぬ」の原題なのですが、作者:イアン・フレミングの著書の最初のページに書かれた意味合いは映画とはちょっと違うものだったようです。
「人生は二度限り。この世に生を受けた時と、死に直面した時だ。」というもので、映画では、「007は一度死んだものと思わせておいて、秘密裏に活躍する」という風に変えたので「二度死ぬ」というタイトルになったんでしょうね。(二度死んではいないですけど。)

「DR. NO 」の1シーン(高画質)

「FROM RUSSIA WITH LOVE 」の1シーン(高画質)

「GOLDFINGER」の1シーン(高画質)

 

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