[ 神原通信 ]

2024年7月31日(水

<3人だけの同窓会>

仕事が終わって久しぶりに梅田に出た。大学時代のサークル「映画研究会」の後輩、谷口(旧姓黒川:敬称略)からDMがあり、「31日に高田君と会うんやけど、神原さんもどう?」と誘われたからです。

黒川と紀伊国屋前で待ち合わせるのは何年ぶりだろう?
ここは昔、1時間以上遅れて来た彼女に憤慨し、「何時やと思てんねん!」という罵声とともに飛び蹴りをした場所だ。(黒川は僕が宙を舞ったのを憶えているらしいが、そんなことが出来る運動神経は持ち合わせていないので否定はするんだけど、いつも会う度にそれを話題にされるので、今では飛び蹴りしたことに記憶を修正している。)

17時半ごろ、サングラスとマスクをした女性が目の前に現れ「久しぶりです」と言われたので黒川だと分かったけど、10年ぶりに会った彼女は小さくなったような気がした。「最近ちょっと痩せた」らしいのでそう思っただけかも。
しばらくして高田君が来たので、かっぱ横町の鯨料理を扱うお店に入っていった。黒川が鯨を食べたくて予約したらしい。お店の人に「(予約時間より)ちょっと早く来すぎたんですけど、いけますか?」と彼女。丁寧だなぁ。

まずは生中で乾杯!ビールの泡って美味しい!!

料理を注文して開口一番。
「メールに書いてあった岡本くんの葬儀はいつあったの?」
「13日。岡山だから行く必要はなかったんですけど、前の飲み会で会えなかったから心残りになると思ったんで行って来たんです。何年かぶりだったので、顔を見たら『誰?この人』っていうぐらいおじいちゃんになっててびっくりしたんですよね。」

黒川は、仲間からのメールで岡本君の死を知って、僕も彼を知っていると勘違いして連絡をしてきたんですよね。「岡本くんって知らないけどなぁ」「じゃあ、神原さんが卒業してから入部してきたのかも。サークルのメンバーがごっちゃになってて知ってるつもりで連絡したんですけど、すみませんでした。ところで31日会えますか?」となったわけ。

「僕ねぇ、70になっちゃったよ。」「え〜っ、もう?」「僕も来年やし」と高田君。

黒川は僕より2歳下。
「サングラスかけてるのは粋がってるんじゃなくて、白内障なんですよ。それに、最近熱が出るのが続いたんで検査しても身体には異常はなくて、自律神経失調症だって言われて(笑)。」

「僕は神経科に何年も通院してますよ。」と普通に自慢をする高田君。病名は何度聴いても忘れる。

「TVのドラマを見てても、ストーリーに不満があると、『それはこうなってああなった方がええねん』てなって頭が混乱する」らしい。
どんな病気やねん!!

ところが、二人共意気消沈してるわけではなくて、元気なんだよね。

黒川は、昔から詩が好きで(詩集まで創ったことがあり)、現在も三上 寛 (みかみ かん)主催の「詩学校」に参加しているそうだし、これから流行るだろうバンドを見つけてはライブに足しげく通ってるみたい。
高田は、相変わらず行動的な奥さんと娘2人と孫と犬・猫に囲まれて、月に数回シルバー人材センターの仕事で、サッカー場の清掃に行ってるみたい。

「最近は物欲がなくなった」と黒川。「モノは買わない」と高田君。

「ところで、神原さんは何やってるの?」
「物欲はなくなって持ってたレコードも本も半分ぐらいは処分したよ。
だけど、今ねえ、昔観た映画のブルーレイ(ディスク)を買ってるんだ。もう25枚ぐらい溜まったけど。」
おもいっきり矛盾した話。
この話を広げて、ブルーレイの自慢をしようと思ったら、二人はそんな話に関心がないらしい!

「昔観た映画をもう一回観るってお金も時間ももったいない気がするから、Amazonプライムも値上げした時解約したし、TVもニュースぐらいしか観ないですねぇ。」と黒川。
高田君も前述したとおり、ドラマが観られないので、映画なんか無理。

あのぅ、僕たち映画研究会のメンバーだったんだよね。で、映画の話ができないってどう?

ま、いいけどね。

この3人、全く価値観、趣味、生活、性格が違う。だから面白いっていうのもある。
黒川のダンナは、僕と同じくひとりで映画も音楽も楽しむタイプだから話が合うかもとは思ったけど
こういう人は得てして、他人を寄せ付けない性格の人が多いからたぶん無理だろうなあ。
あっ、僕のことか!

黒川と会うのは久しぶりだけど、高田君は半年に1回くらい飲みに誘ってくれる。
会って飲んで食事して、いつも思う。
自分の考えを押し付けないし、互いが自分とは違う人生の断片を聞いて不思議に思いながらも聞き入っている。
お互いの関心事が違うし話も噛み合わないんだけど、いつもよく笑って帰る。

改めておもう。このふたり、最強だ。このふたりの先輩でよかった。(笑)

 


2024年7月27日(土

<『雨月物語』>

雨月

ブルーレイ画質★★★★★

Amazonからのメールで、『雨月物語』−50% ¥2,684 とのお知らせが来たので、思わずポチッと買ってしまった。他の溝口作品は割引が30%前後なのに、なぜ?
まあ、2,000円台で買えたのでラッキーでした。

このブルーレイの売り文句は

★幽玄な映像美に息を呑む、映画史に今なお輝き続ける傑作!

★ヴェネチア国際映画祭、銀獅子賞をはじめ数々の映画賞に輝いた不滅の名作!

★【マスターについて】『雨月物語』の復元は、マーティン・スコセッシ監督率いるフィルム・ファウンデーションとKADOKAWAが、ハリウッド外国人映画記者協会の協力を得て行いました。
復元にあたって、本作品の撮影を務めた宮川一夫キャメラマンの助手を長きにわたり務めた宮島正弘撮影監督監修の下、KADOKAWAに保存されていたマスターポジをニューヨークにある老舗のラボ「シネリック」において4K高解像度でスキャンし、デジタル技術を駆使して傷や汚れなどの修復を行いました。

Amazonのレヴューにもある通り、これは「日本の宝」ですね。大げさでなく。
この作品が出来る経緯をWikipediaで確認。

「黒澤明監督の『羅生門』(1950年)が第12回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。
これに強い刺激を受けた溝口は、念願の企画だった『西鶴一代女』を新東宝と児井英生プロダクションの提携で撮影した。

この作品は興行的に失敗したが、同年の第13回ヴェネツィア国際映画祭に出品され、国際賞を受賞した。この受賞は溝口に大きな自信を与え、ようやく戦後の長いスランプから脱出することができた。
その後、溝口は東宝との契約を1本残していたことから、石坂洋次郎の短編小説『憎いもの』の映画化に着手したが、シナリオをめぐり東宝と意見が対立したため実現には至らなかった。結局、東宝との契約が未消化のまま、同年秋には大映と専属契約を結んだ。

1953年、溝口は大映専属の1作目として上田秋成原作の『雨月物語』を撮影した。」(Wikipedia)

96分の短い時間の中に見せ場をいくつも作り、一種おとぎ話のような簡潔さでストーリーを展開するので目が離せない。出演の森雅之は最高の演技を見せてくれるし、田中絹代、京マチ子、水戸光子、小沢栄、毛利菊枝とベテランがこの映画を支えている。

ラスト近く、源十郎が家に帰って来るシーンは何度観てもマジックです。

次は「近松物語」「山椒大夫」「西鶴一代女」どれかひとつでも安くなれば買う!(笑)

 

 

2024年7月18日(木

<『雪之丞変化』>

クライテリオン・コレクションのラインナップを見ていたら、市川崑監督の作品が出て来た。
ただ、クライテリオンって日本語には全く対応してなくて、タイトル名を見てもそれが何の作品なのかが分からない。『An Actor’s Revenge』・・・何?これ。
ページにアクセスして、下にスクロールしてみると、コマーシャル映像が出て来た。

『An Actor’s Revenge』

なんと『雪之丞変化』。そうだよね。英語にそのまま訳せないから、「ある役者の復讐(劇)」となってるわけか。
それにしても、僕はこの映画を観てないので評価はできないけど、このCMの映像はすごい!!
漆黒の闇の中から主人公がやって来る。それを待ち伏せる浪人たち。先を急ぐ雪之丞。それを阻む浪人たちとの殺陣。カット割りが凝っている。2分ぐらいの映像だけどピッカピカで、これだけでこの作品を観たくなった。

YouTubeでカドカワ版の予告編も観たけど、こちらも面白い。

『雪之丞変化』

『雪之丞変化』クライテリオン版 ¥6,480
『雪之丞変化』カドカワ版 ¥4,745

どちらも高くて買えない!!

 

2024年7月15日(月

<今日は誕生日>

朝5時20分に起きて、仏壇の湯のみを新しい麦茶に変え、線香2本に火を着け、手を合わせて「今日もよろしくお願いします」と黙祷。

5時30分に大吉のトイレ掃除。ケージの扉を開けるとすぐ外に飛び出す。掃除が済んだ頃、ケージに自分から入るので扉を閉め、朝食の準備にとりかかる。

朝はサラダと食パンとヨーグルト。ついでにタッパにサラダを詰めて、保冷剤、牛乳入りの魔法瓶、ドレッシング、凍らせた水の入ったペットボトルを保冷バッグに入れておく。

朝の飲み物はイヌリン入りのホット麦茶と青汁入り牛乳150cc。

6時30分頃には朝食が終わるので、洗い物を済ませ、大吉をケージから出して運動をさせる。元気のいい日は、僕と一緒にリビングを走る。15分程遊ばせたらケージに返す。

歯を磨いて顔を洗い、日によって違うけど、ゴミ出し、洗濯、お風呂掃除。あとは自由時間。

7時44分に家を出て、最近は暑いので仕事場までは自転車に乗る。
途中ダイエーに寄って買い物を済ませ、仕事場へ。
管理員の入館キーを取り出し、ゴミ庫の扉を開け、駐輪場に自転車を停め、管理員室にはいり、電気を点け、エアコンをON。時計を見るとだいたい8時15分。

水道水を15秒程流し、ケトルに水入れIH調理器でお湯を沸かしている間に着替えをして、デイパックからMacBookを机に出し、仕事の始まる9時まで映画を観る準備。

抹茶入りの伊右衛門を急須にさらさら。お湯が沸いたらマグカップにお湯を150cc入れ、これを急須に入れて15秒。マグに返して、お茶を飲みながら映画鑑賞。

今日は「ダーティハリー」を観る。

ダーティハリー

ブルーレイ画質★★★★★

プライムデーで購入したから¥1,200で買えた。
やっぱり銀行強盗のシーンは何度観ても興奮します。
よく見ると消火栓にぶつかって横転する車の後部に紐がついてるけど、何の紐だろう?

もう10回ぐらい観てるから、今回はリチャード・シッケルの音声解説を聞きながら、名シーンを観る。色々と貴重な解説が聞けて満足。

ダーティハリー

9時になったら仕事を始める。

月曜日は可燃ゴミの日なので、ゴミ置場の生ごみの袋を中央に集めた後、明日収集の段ボールを片付ける。土日で溜まった段ボールを箱に詰める作業は、僕のお気に入りの仕事。大きめの箱を組み立てその中に折り畳んだ段ボールを詰めて行く。つまり、こんな具合。

段ボール 箱を積み上げられるようにするには、箱の高さに合わせて段ボールを折り畳まないといけない。箱によって高さが違うので、色々と工夫をしないと入らない。その仕分けが楽しい。

もちろんここにはエアコンは無い。

月曜日は忙しい。

ゴミの片付けが終わったら、麦わら帽子を被って庭の散水。
巻き取ってあるホースを伸ばし、玄関の植栽に水をやる。
終わったら、外周に自動散水。約1時間。外周が終わったら内周と中庭。これも約1時間。

自動散水をしている間、側溝の掃除。落ち葉は夏の方が多いし、雑草の伸びる早さがハンパ無い。

やっと朝の仕事が終わると休憩。
管理会社支給のiPhoneで、熱いお茶を飲みながらYahoo!ニュースを見る。
大谷くんのニュースがあればうれしいけど、その他のニュースは仕方なく見てる。
つまらないニュースが多い。
蓮舫、兵庫県知事、お笑い芸人などなど。昨日のテレビのまとめが多い。

休憩を終えると、書類の整理。最近なぜか引越しが多い。コロナの時期は移動が全くなかったのに。
駐車場の解約&契約、駐輪場の申込、退出&入居届け、リフォームの届け&掲示、蛍光灯設備の損傷&交換、などなど。冬は暇なんだけど、夏はやる事が多い。

お昼は持って来たサラダを食べたあと、ファミマに行ってホイップ入りのアンパン(¥158)を買って来た。
ディンブラとリプトンの青缶をブレンドしてミルクティーを作って一緒に食べた。
これが、誕生日の贅沢だ。

1時間の休憩後、ロビーと廊下のモップ掛け。エレベータの操作盤とロビーのガラステーブルは毎日手あかで汚れるので、マイクロクロス2枚(1枚は水で濡らし1枚は乾拭き)でよく拭く。
散水は垣根の自動散水とパティオの手動散水。

3階にある備蓄倉庫を久しぶりに開けたら「湿気取り」が水で一杯になっていたので取り替えた。

弟くんからLINEが来た。

「お誕生日おめでとう。祝
何かあっという間やねぇ。
信じられんけど、二人共世間でいう爺さんという歳なんや。
気持ちだけは若いつもりやけど、まぁぼちぼちやりましょう。」

そうだね。ぼちぼち。

4時半になったら巡回して、着替えをして机を片付けて今日の仕事は終わり。
5時までもう少し時間があるので、iPhoneでYahoo!ニュースを見る。
4時57分で切り上げ、デイパックを背負い、保冷バッグを肩に掛け、自転車用の帽子を被り、時計を見ながら、周りをチェック。
エアコン・・消した
洗い物・・終わった
忘れ物・・無し
電気を消してから、もう一度チェック
ドアを開け、部屋の外へ
「本日の営業は終了しました」の札をカウンターに出し
オートロックがかかっているか確認して
自転車に乗って帰った。

晩ご飯を食べ、お風呂に入り、大吉を遊ばせ、テレビを観て、10時に寝た。

ぼちぼち、だな。

 

2024年7月13日(土

<クライテリオン・コレクション >

Amazonの映画のレヴューを見ていると「クライテリオン版と比較すると・・・」という文章が散見されます。
クライテリオンとは何か?を調べてみた。

【クライテリオン・コレクション社】

1984年に設立。アメリカ合衆国を拠点にするソフトメーカーで、制作国やジャンルにこだわらず、多岐にわたる「名作」と呼ばれる映画のディスクを販売している。

フィルムで製作された古典作品は自社で徹底的なリマスターを行っており、学術的エッセイや解説など特典映像の収録も充実させるなど、非常に質の高いパッケージを販売することで知られる。

日本での展開は行っていない。だが国内メーカーが販売するソフトより質が高く、加えて基本的にDVDやブルーレイは日本よりも海外のほうが安いことから、クライテリオンの輸入盤ソフトは国内でも人気がある。なお、同社からは黒澤明、小津安二郎、溝口健二の主要な作品はほとんどブルーレイ化されている。

業界内でもクライテリオンのファンは多く、『七人の侍』4Kリマスター版のパッケージ化を担当したスタッフは制作の際にクライテリオン盤ブルーレイをオペレーターに見せて「これを超えてくれ」と指示を出したという。(Wikipedia)

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う〜ん、なかなかにマニアックですねえ。

それでは、どんな作品があるのかサイトのショップを覗いてみると・・・かなり偏った作品選びをしていますねぇ。

洋画は日本語字幕がないというのが僕にとっては最大の欠点だし、90%は作品自体に興味がないものばかり。

ただ、パッケージのデザインはどれも凝っていて、作品自体には興味が持てなくても、デザインを見るだけでもけっこう楽しいので、一見をお勧めします。

ブダペスト
『グランド・ブダペスト・ホテル』

近松物語
『近松物語』

博士の異常な愛情
『博士の異常な愛情』

真夜中のカウボーイ
『真夜中のカウボーイ』

ロシュフォールの恋人たち
『ロシェフォールの恋人たち』
七人の侍
『七人の侍』
キッスで殺せ
『キッスで殺せ!』
おかしな世界
『おかしなおかしなおかしな世界』
東京物語
『東京物語』
大脱走
『大脱走』

この中の1本「おかしなおかしなおかしな世界」の紹介映像があったのでご覧下さい。
この映画を見た事ある人は少ないでしょうけど、1963年当時のアメリカが大画面で紹介されます。
僕はこの映画を映画館の大画面で観たので、その時の感想は「むちゃくちゃな映画!」だった。
3年程前にレンタルで観た時も面白かったし、この映画ならブルーレイ欲しいなぁ。

「It's a Mad, Mad, Mad, Mad World」

Smileboxed "It's a Mad, Mad, Mad, Mad World" trailer in 7OMM Cinerama

 

 

2024年7月12日(金

<『北北西に進路を取れ』その2 >

北北西に

ブルーレイを買って観た最初の印象は、「あれ?」って感じでした。
DVDはあっさりとして上品な映像でしたが、ブルーレイは少し濃度が増したというか厚みがある印象。ま、観ていくうちに「こっちの方が正解かな。」と思える映像でしたね。国連ビルの上からの映像がくっきりはっきりできれい。これ、どこまでが絵でどこまでが映像なのか、まるで分からない。

さて、今回は脚本家アーネスト・レーマンの解説を聞き(読み)ながらの鑑賞。
この映画ができた経緯を事細かにしゃべってくれるので、聞き応えがありました。

その中のエピソードをひとつ。

ヒッチコックは「めまい」を撮っている最中に次回作の案(難破船を舞台にした映画)を考えていて、ある時、音楽担当のバーナード・ハーマンがヒッチコックに脚本家アーネスト・レーマンを紹介したらしい。
ただ、彼はヒッチコックから渡された難破船の原作を読んでみたが「映画になりそうもない」として断わった。それに対してヒッチコックは怒ったが、それでは「別の映画の脚本を書いてみてくれ」と相談。
最初は、「ニューヨークから北西に向かって話が展開する話」を考えたが、話をするうち、「クライマックスシーンで、ラシュモア山にある大統領の頭部彫刻を舞台にすれば面白そう」となって、では、そこに向かうにはどういう展開にすればいいんだろうと、ヒッチコックと一緒になって考えたのがこの映画だという。

こんな感じで、映画全編2時間16分全く飽きずに聞いていられました。

ラシュモア山での撮影は「歴代大統領に対して失礼だ」として許可されなかったので、スタジオに創ったという巨大なセットは観る価値あります。

 

 

2024年7月7日(日

<『北北西に進路を取れ』 >

北北西

ブルーレイ画質★★★★★(予想)

買う前に「この映画のブルーレイを買うべきか?」と自問してみた。

★ソール・パスによるタイトル・シークエンスは、ヒッチコック映画で一番。
★主演のケイリー・グラントは演技派ではないけど、まぎれもないスター。
この映画でのエバ・マリー・セイントは素敵だ。
★見所が満載・・国連ビル、コーン畑、ラシュモア山、山の上の別荘。

・・というのを確認するために、DVDを再見してみた。

★タイトルもすごいけど、それにかぶさる音楽(バーナード・ハーマン)もすごくいい。
★「これがDVD?」と思うぐらい映像がきれい。リマスターされてる。ブルーレイはデジタル・リマスターらしいので、これ以上の画質が期待できる。
★ケーリー・グランドは当時55歳だけど、まだまだ魅力的。
★エバ・マリー・セイントは、ヒッチコック映画用にブラッシュアップされてて、グレース・ケリーのような美人ではないが、この映画には合っている。
★国連ビルからの俯瞰シーンはアニメみたいだし、コーン畑での「何も起こらない8分間」の
すごさ、ラシュモア山の歴代大統領の塑像のセットは圧巻。
★ヒッチコック映画の中でも完成度が高い。
★残念なのは、DVDの画面サイズは、両側が切れてます。

結果、Amazonで注文しました。1,400円。昨日到着したので、明日観てみます。
脚本家アーネスト・レーマンの解説で。

さて、この映画のタイトル「北北西に進路を取れ」って、映画を鑑賞してても見終わっても全く意味をなしていない。なぜなのかネットで調べたら、ありました。これです。

「北北西に進路を取れ」── 存在しない方位の謎。

 

2024年7月5日(金

<ジョン・スタージェスの映画2本 >

今から50年前、僕にとって「映画を観るということが贅沢で憧れ」だった時代があります。
007シリーズ、「サウンド・オブ・ミュージック」、「マイ・フェア・レディ」、「2001年宇宙の旅」エトセトラ。
そんな映画達を50年後、クリアな映像で、それも手元で観られる時代がやってくるなんて感無量なのです。あとはそれをリーズナブルな価格(1,500〜2,500円)になるまで待つ、というのが今現在の僕のスタンス。

かつてDVDで買った映画の中にもブルーレイで持っていたい映画がまだまだたくさんありますが、これから紹介する2本の映画は、どうしようか迷っているので、再見してみました。


七人

「荒野の七人」1960年(128分)
監督:ジョン・スタージェス
出演:ユル・ブリンナー、スティーブ・マックイーン

言わずと知れた黒澤明の「七人の侍」のリメイクですね。
「製作はジョン・スタージェスになっているが、元々はユル・ブリンナーが『七人の侍』に感銘を受け製作したオマージュ色の強い作品のため、大まかなあらすじ・登場人物の設定・台詞などの多くが忠実に再現されている。
当初の構想では、監督をユル・ブリンナー、主演をアンソニー・クインが担当する予定だったが、スタッフ間の対立により現在のスタッフ・キャストに変更された。」(Wikipedia)


マックイーン

【スティーブ・マックイーン】

この映画を機に一躍スターになり、その後、「大脱走」「ブリット」「ゲッタウェイ」「華麗なる賭け」「タワーリング・インフェルノ」など大作に出る事になる。存在自体が絵になる俳優は珍しいので、僕も彼の話題作はほとんど観てます。

ただ、その後、彼のプライベート等がTVで明らかになるにつれ複雑な思いになり、結局は「人を押しのけてでも前に出るタイプ」の印象を残す事になって、この作品でも「目立ちたがり」が主演のユル・ブリンナーを不快にしたとか。

スターになっても「わがまま」になってないのは、クリント・イーストウッドとキアヌ・リーブスぐらいかな。


マンダム

【チャールズ・ブロンソン】

彼もこの映画で脚光を浴びたひとり。ただ、「大脱走」でもヒゲがなく、後のマンダムのCMが強烈すぎて、この映画の頃の彼はイマイチ好きになれない。
<記憶に残るCМ「うーん、マンダム」誕生秘話>

「ブロンソンの本名はチャールズ・デニス・ブチンスキー。
リトアニア移民家庭に15人兄弟の5男として生まれた。
彼はポーランド・リトアニア共和国内に定住したテュルク系のリプカ・タタール人の血筋を引き、その容貌のためアジア系またはメキシコ系のように思われた。そのため、ブロンソンは後にメキシコ人やインディアンの混血役をしばしば演じていた。」(Wikipedia)


コバーン

【ジェームズ・コバーン】

彼のスタイルの良さは、この映画の「ナイフ投げの達人」にぴったり。個性的な顔立ちで、マックイーンやブロンソンと同じく「ゴリラ顔」は当時の流行りだった。僕は未見だけど、007のパロディ「電撃フリント」のポスターはカッコいい!今でも観たい気持ちはあるけど、「女性蔑視」と言われかねないのが辛い。

後のサム・ペキンパーの作品「戦争のはらわた」にも出てますね。
ペキンパーもそうだけど、彼も相当なアル中だったらしい。


ロバートヴォーン

【ロバート・ヴォーン】

1960年「荒野の七人」の後、
1964〜1968年の TV「0011ナポレオン・ソロ」で有名になり、中学時代、毎週観てましたね。
1968年「ブリット」でマックイーンと共演、
1969年「レマゲン鉄橋」でドイツ軍の指揮官を演じてました。

この人の顔立ちが好きで、雑誌「スクリーン」に載っていたポートレイトは今も大事にファイルしています。


大脱走

「大脱走」1963年(172分)
監督:ジョン・スタージェス

出演:スティーブ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ドナルド、チャールズ・ブロンソン、ドナルド・プレザンス、ジェームズ・コバーン 、デヴィッド・マッカラム

音楽:エルマー・バーンスタイン

戦闘シーンがない戦争映画は今でもたくさん作られていますが、この映画のような「娯楽作品」は珍しくなりました。
「戦争は悲惨なもの」というのは分かるけど、どれだけ悲惨なのかを、ことさら暴力描写で積み重ねる最近の映画は後味が悪過ぎます。

「名優の演技で魅せる映画」はこの時代(1960年代)の特徴でしたね。


ガーナー

【ジェームズ・ガーナー】

テレビシリーズ『マーベリック』(1957年〜1960年)での長男ブレット役で一躍人気俳優となる

次第に活躍の場をテレビからスクリーンに移し、『大脱走』、『グラン・プリ』といった大作アクションから『スリルのすべて』、『プレイボーイ』、『セパレート・ベッド』、『恋するパリジェンヌ』などのロマンティック・コメディ、『墓石と決闘』、『夕陽に立つ保安官』など西部劇まで幅広い作品に主演した。

一見どこがいいのか分からない顔立ちですが、演技を見ると「いい人」感が出て、記憶に残るタイプの俳優です。


アッテンボロー

【リチャード・アッテンボロー】

イギリスの映画監督、映画プロデューサー、俳優。1982年に監督した『ガンジー』で、アカデミー作品賞とアカデミー監督賞を受賞した。
王立演劇学校で学び、1942年に俳優としてデビュー。
『砲艦サンパブロ』と『ドリトル先生不思議な旅』で1966年、1967年のゴールデングローブ賞映画部門の助演男優賞を受賞した。

1963年「大脱走」
1965年「飛べ!フェニックス」
1966年「砲艦サンパブロ」
1967年「ドリトル先生不思議な旅」
1971年「10番街の殺人」

好きな俳優さんなんだけど、監督作品は僕には全く響かない。


ドナルド

【ジェームズ・ドナルド】

スコットランド出身の俳優。

『戦場にかける橋』にクリプトン軍医役で出演し、一躍注目を集めた後、『大脱走』 で、イギリス将校ラムゼイ大佐を演じたことで知られる。

印象的な映画はこの2本だけど、印象に残る人です。


ドナルド

【ドナルド・プレザンス】

坊主頭と特徴のある声のせいか、悪役や狂人役が多い。
ことに『007は二度死ぬ』における悪の組織スペクターの首領エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド、『大脱走』の書類偽造屋コリン・ブライス、『ミクロの決死圏』の学者役は有名。

一度観たら忘れられない俳優ですね。
上の三作品はどれも観ましたが、どれも好きです。
かなりの本数の映画に出ているので、思わぬところで出会うのも映画の楽しみです。


2本を観た感想は・・・面白いんだけど、どちらの作品にも欠点がありました。
「荒野の七人」はユル・ブリンナーに感情移入できない。マックイーンが少々うざい。主役なのに。それ以外は問題がない。
「大脱走」は、シーンによって画質がかなり悪い部分がある。これはDVDを作った時の状態が悪いというのもありますが、ブルーレイでもたぶん修復は無理だと思う。あと、前半のコメディ的な演出は要らない。脱走してからの後半部分は、結末を知っていてもハラハラドキドキなので、何回観ても面白い。それと、「大脱走」は廉価版が出ていない。

というわけで、この2作品は余裕があれば買うことにして、他のを先に買う事にしようと決めたのでした。

 

2024年7月2日(火

<西部劇映画3本 >


赤い河

「赤い河」1948年(133分)
監督:ハワード・ホークス
出演:ジョン・ウェイン、モンゴメリー・クリフト

1971年に観た「ラストショー」で、意味有りげに映画館で上映されていたのが「赤い河」でした。「古き良きアメリカ」の象徴なのかな?と思いながらも、ジョン・ウェインが嫌いで今まで観てこなかったこの映画を、あえて今回はiPhoneに落として鑑賞。
普通に観れば「一攫千金をもくろむカウボーイとその試練」のように見えるが果たしてそうなのか?
こういう時は「町山智浩の映画塾!」で勉強するのが一番。というわけで<予習編><復習編>を観た。
この映画の時代背景や「カウボーイの歴史」がよく分かりました。
タダで育った一万頭もの牛を鉄道まで運んで金を得る。命がけで。
すごい世界です。
ガンマン役のジョン・アイアランドが印象的。


ガンヒル

「ガンヒルの決斗」1959年(94分)
監督:ジョン・スタージェス
出演:カーク・ダグラス、アンソニー・クイン

「ジョン・スタージェスが監督した西部劇。2年前に製作された『OK牧場の決斗』のスタッフがほぼそのまま再結集している。」(Wikipedia)そうだが、そっちは観てない。

ジョン・スタージェスは「大脱走」「荒野の七人」が代表作だけど、この映画も派手で面白い。保安官が妻を牧場主の息子に殺され、復讐のため単身ガンヒルに乗り込み、「今日最後の列車で息子を連れ帰り裁判する」と豪語。それを阻止しようとする牧場主との闘いを描いているんだけど、無謀にもほどがある。
2大名優の演技が迫力満点。


『許されざる者』

許されざるもの

ブルーレイ画質★★★★★

1992年の「イーストウッドが、師と仰ぐドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げた「最後の西部劇」で、映画化の権利は元々はフランシス・フォード・コッポラが持っていて土台となる脚本もコッポラとデヴィッド・ピープルズが書いたものである。」(Wikipedia)

この映画も「パットン大戦車軍団」と同じく、誰が正義で誰が悪かは判然としないというか、元々そういう意識がない。脚本がそういう風に出来上がってるんでしょうね。

この映画は、アカデミーの作品賞/監督賞(イーストウッド)/助演男優賞(ジーン・ハックマン)/編集賞(ジョエル・コックス)を受賞。

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【ジョエル・コックス】

1969年、サム・ペキンパー監督の『ワイルドバンチ』から編集助手となり、1975年、『さらば愛しき女よ』で編集技師デビューを果たす。
イーストウッドとは助手時代の1976年『アウトロー』で出会い、フェリス・ウェブスターとの共同体制で『ダーティハリー3』から『センチメンタル・アドベンチャー』までの編集を担った。
1983年の『ダーティハリー4』で、アシスタントから昇格して筆頭の編集技師となる(単独クレジットされる)。以降、イーストウッドの片腕として多数の作品を手掛けるようになる。1992年には『許されざる者』で第65回アカデミー賞編集賞を受賞。

僕が観た映画だけでもこれだけある。「ミスティック・リバー」 「ミリオンダラー・ベイビー」 「チェンジリング」 「アメリカン・スナイパー」 「リチャード・ジュエル」

あと、ノミネートは下記の通り

2004年 アメリカ映画編集者協会エディー賞:長編映画編集賞 (ドラマ部門)『ミスティック・リバー』
2004年 ゴールデン・サテライト賞:編集賞『ミスティック・リバー』
2005年 第77回アカデミー賞:編集賞『ミリオンダラー・ベイビー』
2005年 アメリカ映画編集者協会エディー賞:長編映画編集賞 (ドラマ部門)『ミリオンダラー・ベイビー』
2006年 サテライト賞:編集賞『父親たちの星条旗』
2009年 第62回英国アカデミー賞:編集賞『チェンジリング』

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この映画は製作もイーストウッド。誰と共演したいかと選んだのは、モーガン・フリーマン、ジーン・ハックマン、リチャード・ハリス。どの人も存在感があって僕もお気に入りの人達です。

メイキングでは、イーストウッドは「編集する時が一番楽しい」と言ってる。彼が現場で、優れたスタッフとともに描いたシーンが、優れたカメラマンによって撮影され、優れた編集者によって編集される。

イーストウッドの映画が一定のレベル以上にキープされているのは、彼の人徳かもしれないですね。

 

2024年7月1日(月

< 戦車が出て来る映画が好き >

実は何を隠そう、僕はタミヤの「第二次世界大戦で使用された戦車」のプラモデルファンなのです。昔は塗装までしていましたが、今は買った製品の箱を見て楽しむか、ピンタレストで戦車(実写)や模型の完成品を見るのを趣味にしています。(事あるごとに言って来たから知ってる人は知っている)

僕が最初に戦車に興味を示したのは小学2年生ぐらいかな。隣の家のお兄ちゃんが僕を誘って、家の前の川で水陸両用の戦車を浮かべて遊んだんですね。戦車が波の上をチャプチャプ揺れながら走る?のです。かっこよかったなぁ。この戦車の名前が「アリゲーター」・・「欲しい!」・・かなり羨ましかった。

アリゲーター ネットで調べたらこれしか出て来なかった。
僕の記憶とはちょっと違うなぁ。なにしろ60年前の記憶だから・・・。

その後、小学高学年になった頃、タミヤは「1/35戦車シリーズ」を展開し、モーターで動く戦車が流行って、友達のと競走させるんですよね。まさに男の子の遊びでした。

やがて、有線式のリモコン操作ができる戦車が現れ、「ナポレオン」という名のフランス戦車を買ったことがあります。これもネットにあった。懐かしい!

ナポレオン ナポレオン

しかし、これってよく考えたら、戦後のフランス軍の戦車ですね。

【AMX-30】
フランスでは1959年から試作車の製作が始まり、翌1960年には試作車が完成し、1963年に正式採用を決定。1965年から量産を始め、その改良型は海外セールスも行われ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの中東諸国に採用されている。(Wikipedia)

ある日、友達の宇高くんの家にこのナポレオンを持って乗り込んだら、彼は金持ちの子だったので、僕の戦車の2倍もある戦車を持っていて、あっという間に僕の戦車に乗り上げたんですよね。悔しかったぁ!!
それがドイツのタイガー戦車でした。これは「1/25戦車シリーズ」の豪華版。これがかっこいいんだ、僕のより。それからですね、ドイツの戦車が好きになったのは。

タイガー

そして1968年、僕が中学生の頃、タミヤは「1/35ミリタリーミニチュアシリーズ」を発表。

【1/35MMシリーズ】
当初、「1/35戦車シリーズ」(走行可能なモーターライズキット)のアクセサリー的な物としてスタートした。

シリーズNo.1の「ドイツ戦車兵セット」は1968年9月に発売され、以降No.3の「シュビムワーゲン」がソフトスキン(非装甲車両)として初めてシリーズに加わった。

No.9の「ドイツII号戦車」では、モーターライズ機構を除いて代わりに歩兵フィギュアを追加し、それまでの動かして楽しむという戦車模型の概念に一石を投じ、ディスプレイという新たな楽しみ方を示した。その後も同様にモーターライズ機構を廃したりフィギュアをセットする他、最初からディスプレイ専用に設計された車輌、大砲のキットも次々と加わり、シリーズを固めていった。(Wikipedia)

これには当時の男子は狂喜乱舞したものです。タミヤは特にかっこいいドイツの戦車を中心に模型化し、「5号(パンサー)戦車」「6号(タイガー)戦車」とベストセラー商品を次から次へと作り続け、合間に「88ミリ砲」や「ドイツ歩兵セット」や「バリケードセット」など戦闘の情景になるような商品も発表して、それをカッコよく撮影するための講座を自前の「タミヤニュース」で公開したりしたんですよ。
僕が後にカンテで商品撮影をするようになるためのきっかけを与えてくれたのが、その写真講座だったとは、誰も知らない僕の秘密です。

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「動いてる戦車を見てみたい!」と思うようになる頃、僕はちょうど高校入学。
中学まで「映画館には学校で許可されたものだけ観に行ける」規則だったのが、高校で撤廃。
そこで僕は当時流行っていた戦争映画を観るようになるんですね。最初に観たのが「レマゲン鉄橋」続いて「大脱走」。
映画的には面白かったんですがドイツの戦車が出て来ない!
アメリカの戦車にドイツのマークをつけているだけ!!
その後観た戦争映画にも全く出て来ない!!!

それもそのはず。戦争中も敗戦後もドイツは自国の戦車の情報を他国に渡さぬように、置いて行かざるを得なくなると破壊してから逃げることを義務づけていたのです。かろうじて外観を破壊されなかったものは博物館行きとなり、だけど映画に使えるようなものがなかったのでした。

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そして、今回のブルーレイ映画「パットン大戦車軍団」も例外ではありませんでした。

『パットン大戦車軍団』

パットン

ブルーレイ画質★★★★★

この映画は流石にきれい。

ディメンション150
65mmのネガフィルムを使って撮影し、70mmのポジフィルムに焼き付けする方法は以前の70ミリ映画と同じだが、人間の視野角の限界である150度までスクリーンを歪曲させて、観客を包み込むような巨大スクリーンで上映する方式。特殊な超広角レンズを使い撮影、上映時にはやはり特殊なレンズを使い、歪曲したスクリーンでも歪みを抑えている。『パットン大戦車軍団』『ウエスタン』などで使用された。(Wikipedia)

アカデミーの撮影賞にノミネートされたほどだから、ブルーレイで観るとなおさらきれい。映画の情報誌で読んだんだけど、この映画用のレンズは超広角でもゆがみが少ないらしく、そういうところも意識しながら映画を観るのも面白い。

さて、この映画に出て来るドイツ軍の戦車部隊に使われている戦車は、もちろんアメリカ製。型式はM48で愛称はパットン戦車。この映画の主人公は、アメリカ軍のジョージ・パットン将軍なので、パットン将軍がドイツ軍のマークを付けられたパットン戦車をやっつけるという戦車ファンからすると興ざめなシーンが展開されるんですよね。

それでも僕がこの映画を好きなのは、パットン将軍の描き方が秀逸だからなんです。
彼はかなり好戦的な発言をしてヒンシュクを買っていた人物なのですが、脚本を書いたフランシス・フォード・コッポラはそういう面を描きながらも、戦争に対するロマンチストとしても描いていて、それを肯定も否定もしないのです。

それに、監督のフランクリン・J・シャフナーもその脚本に忠実に描いているし、主演のジョージ・C・スコットもパットン将軍を演じ切っているところが評価され、アカデミー最優秀主演男優賞を受賞したほど。

戦争はしないに越した事はない。しかし戦争が無くならないのは人類の宿命なのかもしれない。政治に宗教が絡み、領土問題がこじれ、軍人と民間人の認識の違い、人種間の抗争が絶えない等々、現実は、「愛は地球を救う」的な発想と多いに矛盾している。国どうしの力関係や人間どうしの考え方も加われば、解決の糸口も見つからなくなる。

戦争を職業にしているパットンの「軍人の生き方」って何なんだろう?
この映画を観ているとそういうことも考えさせられてします。

しかし、しかしです。
いつもそんな事を考えながら、僕は娯楽映画としての「戦争映画」を観ているわけではないです。

映画に描かれた物語が、自分にとって「生きて行く糧(栄養)となればいい」と思っている時もあれば、一種のカタルシスを得る(心の中に溜まっているもやもやを一気に外に解放したときに快感を得ること)ために観ている時もあります。

「パットン大戦車軍団」は、戦車や戦闘を観るための映画ではなくて、ジョージ・C・スコットの演技を観るためにある。ブルーレイを買ったのも最上の画面で見る事で、より感動が深くなる、ような気がします。





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