チャイ特派員レポート(from New York) Vol.2 (2018.8.30)

 神原さん、西日本は台風が連発直撃で大変ですね。こちらはハリケーンが多発することもありますが、NYまで被害が出るほどの規模のは稀です。今年は暑い夏でしたが、その分少しでも気温が下がるとものすごく涼しくて気持ち良いこの頃です。
 その2週間前の暑い土曜日に、フィラデルフィア(Philly)のファーマーズマーケット(道の駅のようなもの)のチャイスタンドまでChai & Chat しに行ってきました。NYからはAmtrak(列車)で1時間半弱くらい、NYに比べると小さく観光客も少ないですが、東海岸のヒップな感じのある街です。今、New York Cityの飲食店は、セルフサービスのフードコート、屋台やFood Truck(キッチン付きの車)といった、場所を取らずに安価で始められる新しいお店がブームになってるのですが、Phillyでは家賃がまだ安く上がるので、そこそこスペースに余裕があり手頃な値段の新しいお店が楽しめます。(Report by 菊池)

『The Chai Bar(チャイバー) 』

chai_bar_01

・同じ名前のインドにあるChai shopのチェーンみたいなのとは関係なく、まだこのファーマーズマーケットだけでしかやってないとのこと。
 ドリンクメニュー:マサラチャイ(Masala Chai)、ゴールデンミルク(Golden Milk), カシミリピンクチャイ(Kashimiri Pink Chai)ミルクの種類はオーガニックホールミルク、アーモンドミルク、またはオーツミルク。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[マサラチャイ]:フェネル(フェンネル)がかなり入ってるせいかスッキリした味わい。シナモン、クローブ、カルダモンはポピュラーで私も常備してますが、フェネル今度使ってみようと思いました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[ゴールデンミルク]:ターメリックとジンジャーがピリッと効いて3種類の中では一番スパイシー。 やはりインドではアーユルヴェーダ療法の一つの飲み物で、どこの家庭でも作るホームリメディー(自宅療法)だそうです。ホットで飲むと風邪ひいた時など効きそうです。こちらではターメリックが抗酸化パワーが強いってことでヘルシー・ヒップスターの間では”流行って”ますが、笑。こないだ「『WholeFoods』へ行ったらまた例のターメリックチャイ再入荷してました。
https://www.bonappetit.com/entertaining-style/trends-news/article/golden-milk-turmeric-health-benefits

ターメリックチャイ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[カシミリ・ピンクチャイ]:スパイスは抑えてあり、まろやか+砂糖+浅い塩味とローズウォーターで香り付けしてあるとか。ほんのり甘くてクリーミーで塩っぱい、不思議な、でも上品な味わいでした。
 カシミリチャイは初めて味わったので作り方を聞いたら、<特別の茶葉+ものすごい手間がかかる>のだとだけ教えてくれたので、ウェブサーチしてみると、撹拌をくりかえして空気をお茶に飽和させるという作業にものすごい時間をかけるのだとか。ちょっとヒマラヤのバター茶に通じますね。
 茶葉はインド北端のKashmir(カシミール)地方特産で、最初はおもてなし時や上流階級のみ味わえるものだったのが、パキスタンがインドから別れた時に移っていったムスリムたちがカシミリチャイを広め、今では特にパキスタンで人気が出ているとか。彼女はインド西海岸のMumbai(ムンバイ)近くの出身だけれども、大学で一緒だったカシミール出身の友人から伝授されたとのこと。英語版フードアンドワインのサイトでNYのブルックリンのパキスタン料理フードトラックのシェフが解説してます。
https://www.foodandwine.com/tea/kashmiri-chai-tea-pink-and-luxuriously-delicious

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 こちらの『チャイバー』では暑いのでアイスのみ。
 ミルクなしで作ったチャイをポットに入れて持参、クーラーボックスで保冷してあるミルクとアイスを混ぜて出してくれます。
 予想はしてましたが、フードトラックでもない限り、ファーマーズマーケットの屋台でフルのチャイサービスは難しそうですね。
 氷とミルクをあとで足す作り方は、せっかくのチャイの美味しさを半分も楽しめないのと同じなので、Hotで飲める季節を待って出直したいと思います。
 ソーシャルメディアのハンドルネームは『MadurasChaibar』です。オーナーでChaiwali(Chaiwallahの女性版)のMadura(マジュラ)さんはもうじきママになる可愛い女性でした。

https://www.instagram.com/explore/tags/maduraschaibar/

https://www.facebook.com/MadurasChaiBar/?hc_ref=ARQYeulzfcCYnupxBBe5qdSztHiCbozMBT5EsDcbYxpTaMHVzMDIGwtChvkRb_vW-Rk&fref=tag

chai_bar_02

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[神原]:色々と興味深い文章が散りばめられていて、やっぱりチャイって奥が深いです。(笑)

 僕もマサラチャイにフェンネルを使ったことありますが、あんまり記憶にないのはインパクトが弱かったのか、あるいは他のスパイスに負けたのかもしれないです。
 「ゴールデンミルク」っていうのは、菊池さんから初めて聞いたんですが、先日カレー好きの奥田さんから「ほぼ日の『カレーの学校』で、カレーに合うドリンクとして飲んだ事あります。」って言われて、「そうか、カレーだからインドにはターメリックを使った飲み物があるんだ。」と納得しました。
 あと、「カシミリチャイ」はまさに「バター茶」の片鱗が伺えますね。昔、カンテで簡易版のバター茶を作っていましたが、現地チベットでは、「ドンモ」と呼ばれる器具で、お茶と山羊のミルクとバターを撹拌したものを温めて塩で味付けするという、スープのようなものですね、これ。「ほんのり甘くてクリーミーで塩っぱい」というのが今風アレンジで面白い。

 ところで、アイスチャイなら、ミルクで煮出したチャイを冷まして持って行けば、味的には全然問題ないと思うんですけど、どうしてそうしなかったのか不思議ですが、たぶん、ミルクのチョイスをお客さんに任せるのを優先しているのかな。その辺りがアメリカらしいですね。
 僕もかつては(ホットのチャイに関してですが)カンテのグランフロント店で、「煮出した濃い紅茶の原液を作っておいて、注文が通ったらミルクを足して、鍋でもう一度沸騰させて『チャイ』を出していました。これはスタッフの間でも賛否両論でしたが、僕としては、作り置きを温めるよりは断然マシだという確信があってやったことです。出されたお客さんからクレームはなかったですね。ただ、僕以外の人がこのやり方で出したら牛乳を適当に足すので、結局おいしいチャイにはならなかったですけど。チャイって結構気を遣う飲み物なんですよね。紅茶のことが分かってないとおいしいチャイは作れない。そこが面白いんですけど。
 だから、本当においしいチャイが飲みたければ、インドへ行くか、時間を掛けて自分で作るか、採算度外視でやってるお店(そんなのないけど)で目の前で作ってもらわないとだめでしょうね。(笑)
 でもマジュラさんがどんなホットチャイを作るのかは興味があります。インドに行った時、女性のチャイ職人はいましたが、その人のは飲まなかったですから。
 あと、ゴールデン・ミルクがちょっと気になっています。レシピ教えてください。

Tandoori Chaiのこと

 最初Webで出回ってるVideoを観た時は、インドの暑い気候では沸騰殺菌しないといけないのかな? でもこんなに沸かすとお茶の香りも牛乳の栄養も飛んでしまうじゃないかと思いました。
 でも、調べてみたら、素焼きのポットでチャイをサーブすると味が違うようで(インド人のポストとかからの情報。カンテでも大昔出してた記憶がうっすらあります)これはその進化形なんだなと分かりました。

chai_la
Copyright © Times Internet Limited. Powered By Indiatimes Lifestyl Network.

 今年の4月頃、インドのPune(プネー)のChai La(チャイ ラ)(上の写真)というカフェが始めてから、あちこちに同じコンセプトのを売る店ができブームになってるみたいですが、前述のChai Barのマジュラさん曰く「インドに住む家族に聞いてみたところでは、ちょっと騒がれすぎで、値段もオーバープライスで、素焼きカップの香りの違いがどれだけ味わえるか疑問」だそうです。
 ウェブでのコメントなども賛否両論なので味の興味をそそりますが、それ以上に ”街角のチャイショップで、チャイワラがタンドールから烈火の素焼きポット(kullhad)を取り出してチャイを注ぎ入れ、目の前で沸々させてサーブしてくれるっていう演出” で、Bollywood(Hollywoodのインドバージョン)の音楽聴きながら味わう体験はしてみたいなって思います。

https://www.instagram.com/p/Bm0wzBtnxps/?utm_source=ig_share_sheet&igshid=xqfthqkc5hg4

あと、インドの水事情で、クレイ(素焼きの)ポットに水をため置くと、クレイのアルカリが水を中性化(Purified)して体に良いらしいです。インドの水は酸がきついのかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[神原]:「Chai La」さんの写真を見て気になったのは、「清潔な格好でチャイをいれてるな」ということですね。写真用におしゃれしたのかな?ベタなチャイワラは、ヨレヨレのTシャツかタンクトップですから。(笑)

チャイに使うミルクのこと

 こちらでは『Foodie(フーディー)』という言葉がよく使われます。意味は「美味しいものを追求するのを趣味にする人またはすること」という意味で、世界中の文化が集まるNYではヘルシー志向も手伝って、スパイスを多用するエスニックフードが注目されていて、チャイもその流れの一つです。(先日、悲しくも自殺してしまったAnthony Bourdain(アンソニー・ボーデイン)氏などのTV番組の影響も大きいですね。)

 ということで、「オーガニック牛乳」は普通のスーパーでも売ってますが、種類は色々で、だいたい濃くて牛乳のフレーバーが好きな人には美味しいと思います。チャイに使うには濃すぎるかなって気もするのもありますが、茶葉やスパイスを多めにすると美味しいのではないでしょうか。またテストしてみたいと思います。

 穀物ナッツ系では「アーモンドミルク」と「オーツミルク」がチャイにはポピュラーですが、背景には、牛乳アレルギーやラクトース不適性の人、生産過程における牛のホルモン剤飼育を敬遠する人、ベジタリアンやヴェーガンを文化的思想から実践する人たちの『牛乳離れ』があるわけです。
 ちなみに私も家では豆乳派です。
 市販されている穀物系ミルクは、ちょっと薄いのが多く物足りないので、NYのチャイカフェのようにニトロを使ってクリーミーにする工夫をしたりなど首を傾げたくなるところですね。このことについてはプチレポートに出てきた「Hideout Chai Cafe」の再訪レポートお待ちくださ~い。

 インディアンレストランでも、従来からある働くオッチャン向けのところでは「フーディー何それ?」って感じで、チャイなんかも薄いのがメニューの端っこにあるだけ、だったりなんで期待できませんが、料理は美味しかったりしますね。インド系移民の数はどんどん増えてますので、これからはインド料理レストランだけじゃなく本格チャイを出す店も増える気がします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[神原]:日本のインドレストランでも薄いチャイが食後に出てきたりしますが、あれはインド人以外の外人向けに出来たセットメニューでしょうね。ま、食後のコーヒーや紅茶(ミルクティー)の延長線上にあるものだと理解しています。悪いとは言わないまでも、付け足しのドリンクサービスなので、もの足らないのは仕方がないです。かといって、チャイを単独メニューとして出していても、チャイラテのような蒸気で微小な泡を添加したりすると、本来のチャイの進むべき方向には向かっていないようにも思われます。もっと、シンプルに、もっと自然に、自信を持ってチャイを提供しなければ、チャイの未来はないように思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 [菊池]:このレポートには書ききれませんでしたが、他にもチェックしたインディアンレストランがあるので、次に書きますね。今年の夏は雨が多く、最初の頃は寒い日もあり、屋外で毎週やってるいろいろなエスニックフードの屋台(テント)のフェア(QueensNight Market)にももう一度いってみたいと思ってます。

copyright 2018 kanbara  canbara1954@gmail.com  表紙に返る
前のページ    次のページ