チャイ特派員レポート(from New York) Vol.3 (2018.11.28)

 ”NYチャイ&カレー事情秋冬の巻~ムスリムの飯屋はチャイが美味しい~”(Report by 菊池)

・以前のレポートに書いた、マンハッタンのハーレムのクリエイティブなインド料理レストラン ”チャイワリ"(ChaiWali)のオーナーに、メールで「日本でもインド料理やチャイが人気だ」というと、「きっと日本ではチャイを独自の方法で取りいれて愉しんでるんでしょうね。日本人は全てのことを本当に正確さと美意識で一つ上のレベルに持っていくね!」って日本文化を的確に表現してました。
(Email 原文: I am sure that they have adopted Chai in their own singular way, the Japanese do everything with such precision and beauty that it is elevated to the next level. )

・世界中の国の食べものが楽しめるのは、NYも日本もそうなのですが、NYが他とは一番違うところは、歴史含め文化と生活がフィルターなしで体験できるところが多いところでしょうか。
 丁寧なサービスも雰囲気あるインテリアも期待できないですが、リーズナブルで美味しく、異国の大都市で、故郷の味覚を求める移民たちの生活パワーが垣間見えます。

・イスラム系文化(英語ではムスリム<Muslim>)もその一つで、忙しいスケジュールの中で1日5回の礼拝を欠かさないイスラム教徒達は、ビル街のあちこちにある礼拝所(モスク)に通ってます。で、近くには必ずHalal(ハラール:イスラム法で認可されたという意味)の ”移民飯屋” 系レストランがあります。
 インド/パキスタン/バングラデシュ、またはミドルイースタン/パキスタンレストランとしてやってるところが多いです。たぶん彼らにしてみればお国の味には程遠いと思ってるだろうし、韓国料理レストランが日本料理や寿司出しているのと同じような違和感があるんだろうなって思いますが。(笑)

・先日仕事の後、インド食材店にチャイ用茶葉を買いに行く途中、ミッドタウンの横の通りの歩道歩いていたら、ちんたら歩いている観光客たちの後ろになり、私の後ろから急いでやってきたインド系のおっさんがイライラして ’ はっ ’ とか声を発してしかめ面で追い越していきました。
 ” なんやねん!イラチな大阪人よりイラついてるやん ” と思っていると、近くにあった礼拝所に夕方の礼拝のためにオタオタと駆け込んで行きました。” あ、そういう事情やってんね。でもAlahの神にイライラはよくないよ ” と心の中で言ってあげ、ふっと上を見上げるとIndian / Pakistan料理の看板が見えたので、後日他のお店とともにチェックしてきました。


『Lasani Restaurant(ラサーニ レストラン) 』

・カウンターサービスビュッフェのお店でよくある、ライスまたはインドパンに2種類カレーを選べるセットがあります。
 パキスタンの小さな国旗が飾られててイスラム色濃しですが、ユダヤ系のダイナーがお隣で同じフロアをシェアしており、間には何も遮るものなし。で、注文取ってくれたお兄さんは東アジア系、出身を聞くとチベット人のおばあちゃんをもつブータン人だとか。
 お客は、一人でやってくる礼拝後の人たち、タクシー運転手(なぜか私がNYにきた当初からタクの運ちゃんは南アジア系の人達が多い)、アフリカ系の露天商の人達(マンハッタンのいたるところにいて、商品の選び方が非常に直接的で笑える。この近所ではイスラムお祈り用のグッズ)。1階はモスクの”Masjid Ar Rahman”
 これってすごいNYの豊富な国籍バラエティーと思いながら。。

ラサーニ01

ラサーニ02
  殺風景な店内。早かったのでまだ暇そう。

ラサーニ03
 雰囲気もへったくれもないデジタルメニュースクリーンが壁に。辛そうで辛く無いカレー達。
 でもスパイスはたっぷり。

カリー&ダル

 一番スパイシーなチキンブナとサグチャナマサラonバスマティブラウンライスをオーダー。最近やたらクリーミーな味付けのインディアンレストランが多い中、両方ともシャバシャバでスパイスかなり効いてて好きなタイプ。
 そしてチャイに種類がある!寒かったのでマサラチャイ(右)とカシミリチャイ(左)をオーダー。紙カップで出てくるのはこういう店ではフツーですが、マサラチャイは適度な濃さでほっこり、美味しかった~。スパイスが漉されず入ってます(笑)。
 カシミリチャイはちょっとナッツの味がする甘いミルクティーって感じで、以前Philly(フィラデルフィア)のマジュラさんのチャイスタンドで味わった繊細な感じではなかったのでちょっとがっかりでしたが。カリーセット$8.99 チャイ$1.50でお腹いっぱい(幸)。

カリー&ダル2

 

「Pakistan Tea House(パキスタン ティーハウス)」

 ・こういう”飯屋”タイプのお店では滅多に見ない若い女性客たちが!一人は東アジア系もう一人はナチュラル大好き系ちょいヒップなアメリカン。このお店はダウンタウンのトライベッカなので、美味しく安い噂を聞いて食べ歩くいわゆるFoodieタイプの人にとってもトライし安い距離だなって思います。もちろんムスリムのおっちゃん達も夕方の礼拝後にわさわさとやってきます。一度2年ほど前に閉店し再オープン、この辺りは東と西と南側からの商業化の波の谷間みたいなところなのでこういうお店が生き残ってるのでしょう。続いて欲しいなあ。

パキスタンティーハウス01

・ライスまたはパン+ベジカリー2種類なら今時驚きの$7! 
 3種類のセットは$8!チャイは$1.50!ベジカリーの種類が充実で、あまり煮込んでないタイプも多くヘルシー。
 テイクアウトでキャベツとトマトのベジカリー、チキンカリーとダールをオーダー。
 見た目良くないですがスパイスが絶妙に効いてて美味しかったです。カウンター内キッチンはパキスタンまたはアラブ系らしきおっちゃん&にいちゃんが忙しげに働いており、一度に全てオーダーしないとめんどくさそうにされましたが、そこはめげずにチャイをオーダー。奥の方にある作り置きチャイのでっかい鍋から漉しながら紙カップに入れてくれました。

パキスタン2

「Kustory(カストリー)」

カストリー
  こちらはミッドタウン東側のインド街の一角、あのでっかいインド食材店のお向かい。

カストリー2
・この日はお腹が空いてなかったので、サモサとチャイをオーダーして小さなテーブルに座っていると、店の裏の方からおっちゃんたちがチャイらしき紙カップを手に手に持って、ガヤガヤ出てきたのでした。
 皆英語じゃないのでなにを話してるかはわかりませんでしたが、おそらく夕方の礼拝を終えてきた様子。そのうちの一人が、もう1つカップをくれと言ったかと思うとチャイを2つのカップに何回も移し替えるアレをやり始めたのでした。

チャイ9
 ソーシャルメディアなどでみる限り「冷ます目的」みたいですが、ああやって空気を入れると美味しくなるって言われて以来、私も家でやってます。思わずパシャリと一枚。
 白いキャップ帽とサイドスリットの入ったローブをきたお客と砂漠のチャイショップの光景を想像してしまいました。
 チャイは薄くも濃くもなくちょうど良い感じでスパイシー。
 サモサもクミンが入ってて美味しい。
 ちなみに白人のおばちゃんはフライドチキンを買って行きました。こんな店に来てフライドチキンはないやろ(苦笑)

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 [菊池メモ:カラフル文化]
 アメリカの白人以外の文化をかってにカラフル文化と呼んでるんですが、アメリカは社会的地位や経済力以外のこのカラフルな部分のルーツを持ってるっていうのがものすごく価値のある時代になって来てると思います。今はトランプ政権を始めコンサバティブな白人が主権を握っていますが、大きな流れは間違いなくマルチでカラフルに向かってます。
 チャイのレポートを書こうとしてるのですが、どうしても料理や移民文化のこと書かずには話にならないのでColorful story to be continued..で行きたいと思いま~す。

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[神原メモ]
 チキンティッカとサモサが美味しそうです。昔、インドの高級ホテルで食べたカレーは盛りつけがきれいでしたが、さすがにNYの大衆食堂では、そういうのを期待しても無理のようですね。(笑)
 最後のチャイの写真は、見る限り結構色もいいし、僕のチャイに近いかも。ただ、冷まし過ぎな感じはしますけどね。習慣とは恐ろしいものです。

 日本人は「形から入って行く」タイプのようで、お金のあるなしに関わらず、店を始める時にはまずは内装を「それっぽく」することが多いですが、菊池さんのレポートを見る限りにおいては、NYでは、内装にはお金をかけず、単刀直入に「味で勝負!」してる店が多いように思います。ちょっと殺風景だけど、ま、日本では、形を気にしすぎて味の方がイマイチのお店多いから、どちらがいいとは言えませけどね。

 かつて、カンテは「チャイは大衆のお茶だ」って言ってた時期がありました。「紅茶」のイメージが「英国風(=お高くとまっている)」なのを嫌がって、「僕らの好むお茶はアジアのお茶(=大衆茶)だ」って主張してた時代の話です。
 「加奈泥庵」が、ネパールかチベットの田舎を連想させる内装の中で、牛乳だけで煮出すチャイを提供したり、ネパールの紅茶(=イラム茶)をストレートで味わったり、「カンテ」がインドの片田舎の家の中を模写することでチャイを強調したりして、「自分たちの文化」を造り出すことに精を出していたことがありました。
 ただ、「チャイ=大衆茶」という概念は、どこかで日本の文化になる前に失速してしまい、日本全体には定着せず、大阪にだけ根を降ろしてしまいました。まるで「大阪名物:たこ焼き」のように。

 昨年、愛知県岡崎市で「チャイ&紅茶&中国茶の講習会」を開いた時、主催者の方に「参加者の方に、神原さんのチャイってどういうものだって説明したらいいんでしょう?」と訊かれ、「大阪のたこ焼きのようなもので、大阪じゃないと味わえない飲み物ですって言ったらどうでしょう。」って答えたら、笑ってもらえました。(笑わせるつもりじゃなかったんですが。)

 まだまだ、僕のやってるチャイはそのレベルなんです。良きにつけ悪しきにつけ。
 

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