NY Chai&Tea 特派員リポートVol.4 (2019.2.20)

   by 菊池恭子

中国茶のお土産

 自分の本業の糸偏の仕事上、中国の工場からこの時期、春節のお祝いにギフトが届くんですが、昨年いただいた中国紅茶を職場では誰も飲まないので、自宅に持ち帰り楽しんでました。チップの入った大きなよられた葉っぱで、独特のいい香り。どちらかというとウーロン茶に通じるまろやかでコクのある香りと味わいでよく出る。ミルクを入れるよりストレートの方が美味しいかなと思いつつ、何どもポットで濃く入れミルクで飲んでたんですが、先日、間違った淹れ方してたんだとわかったのです。お茶好きの人なら既知の事実だったのかもしれないですが、私にとっては近くて遠かった中国の文化と中国茶の世界がぐんと開けた思いでした。

中国茶

NYのチャイナタウン

 多分、世界中に言えることかもしれないですが、チャイナタウンてアジア系の文化を全て受け入れる懐の深さを感じます。日本の食料品なども安いし、ヴィエトナムやタイ系の食品も手に入ります。  最近は家賃の高騰で閉まって行く店も多いのですが、それでもストリートは、ショッピングに出てくる中国人の生活バイタリティーを感じます。いろんな種類の小さな店やレストランやスーパーマーケットや、その前の歩道上に店開きしているおばちゃんおっちゃんなどが、猥雑に密集してごった返しています。
[ Chinese New Year ]2日前のこの日、今年も永いおつきあいの香港出身の税理士に確定申告をお願いしに行ったついでに、食料品、お茶、飲茶の点心(美味しい!) など買い、手荷物いっぱいになりいつもならそのまま帰るんですが、 この日は時間があり寄り道。

チャイナタウン1
春節の紙のお守り飾り。オフィスに行くと入り口のところに貼ってあったりします。

チャイナタウン3
香港超級市場と書いて香港スーパーマーケット

チャイナタウン2
北京ダックの店。美味しいけどちょっと勇気がいる。

チャイナタウン4
点心やナッツ(銀杏とピーナッツ)や竹製品 や野菜やフルーツや・・

チャイナタウン5
おっちゃんおばちゃんが行く散髪屋兼ヘアサロンとその前で屋台構える八百屋

チャイナタウン6
店の中空っぽなのに、より歩道にガンガンにせり出している果物屋


 チャイナタウンの北端にある「LC Tea Trading」という茶葉輸入業兼ティーサロンはずっと気になってはいたのですが、買い物の後、やっと伺えました。

ティーサロン ”LC Tea Trading "

LCトレーディング
 店先は、他のお店に比べ特別に作られた窓枠と白い壁と入り口のドアが渋い。
 1ブロック北側は、NOLITAと呼ばれるおしゃれな店の多いエリアなので、この辺りは昔はゴチャゴチャ感の少ないエリアだったんだと思われます。
 看板は百禾茶業貿易公司。中国読みは Bǎi hé chá yè màoyì gōngsīですが、お茶の名産地:福建省出身のオーナー、陳(Chen)さんのイニシャルで「LCトレーディング」なんだと思います。
チェンさん

紅茶

 中に入ると、ちょっと薄暗い店内は落ち着いたダークな色合いの木の床に、木造りのテーブルが2セットと、キャビネットには、ガラスのジャーに入った量り売りのお茶とストックがずらり。

 中国茶の知識薄な私には、はじめどこから尋ねていいか迷いましたが、携帯に入ってた例のギフトでもらったお茶のラベルと茶葉の写真を見せると「ブランドのラベルに関係なく、それはこの種類だ」と言って、早速、ジャーの一つを開けて説明を始めてくれました。香りはあの独特の香りがします。


中国紅茶の本当の楽しみ方

 テーブルにセットした中国茶専用のポットに茶葉を入れ、電気ポットでお湯を沸かしてすぐに淹れてくれました。

茶器

 こんな特別な茶器は見たことなかったのですが、いつも界隈のスーパーマーケットに行くと売ってる中国茶専用のポットやカップを見て、どういう風に使われるのだろうと思ってた疑問が溶けて、目から鱗でした。
 陳さんのほとんど仰々しい(笑)セットは、上のカップに茶葉を入れて上からお湯を注ぎ、雲の形の下から出てくるので、下でもう一つの手つきポットで受けるという仕組み。
 いきおいよく入れて溢れても、下のお盆(茶盤)があるので平気なんです。それから、薄手の小さなカップにそそぎ入れ竹製の鋏でカップを挟んで目の前に“はいよっ”って感じで置いてくれるんです。(私はこの中国人のストレートさ加減とリズム感が大好きなんです。大阪の下町に通じるもんがあります。)
 2回3回蒸らし、時間調節しながら入れてくれます。また違う種類のお茶も「これはイギリスでも飲まれてるやつ」って言いながら、同じ大きめのカップにお湯を注ぎ、同じように短い蒸らし時間で今度は穴の空いた蓋でこして入れてくれました。
 「お茶をいつもどのくらい蒸らすのか」と質問されたので、「3~5分くらい」というと「Too long! Only 10 seconds!」というのです。そして短時間で蒸らすので苦くならないで、ミルクもお砂糖もなしで何杯も呑める。「小さなカップからすするようにして飲むと香りがより楽しめるよ」というのでずずっとやってみるとあの丸い香りが口の中に広がりまた目から鱗状態。少量ずつ何回も作るので、注ぐ湯は80度くらいでもカップに注がれた時には飲み頃になります。
 こうやって何杯も喋りながら飲め飲めとカップに注ぎ続ける陳さん。私の知ってるチャイニーズは皆話好きなんですが、カルチャーだなあって思います。Broken Englishで小さな音の語尾が消えるチャイニーズアクセントを理解するにはちょっと慣れが必要ですが。

福建省茶畑

 陳さんのiPhoneの茶畑の写真は、深い緑の畑が川を越え、谷を越えて、竹藪に続き広大に遠くの高い山々まで広がる、まさに墨絵に描かれた霧深い景色でした。世界で一番古い茶の木は幹の直径が人の背丈はあろうかと思われる大きさで、その木がある畑から取れるお茶は、普通人には買えない高価なものだとか、ジャスミンティー用の白い花も色々とグレードがあるんだとか、白茶用の茶葉の写真などたくさん見せてくださったのですが、中国訛りの英語は全て理解できないながら、お茶に対する熱意がひしひしと伝わってきたのでした。
 実はこのティーサロン、残念なことに2月末で一旦店終いし、チェンさんは福建省に一時帰ってまたこちらに来て近くに再オープンするらしいのです。閉まるまでにまた何度か訪れてみたいと思っています。

チェンさん

 

Bubble Tea(バブルティー)

 最近、NYでは「Bubble Tea(バブルティー)」がアジア系だけでなくアメリカ人にも人気で、あちこちに似たような店ができまくってます。メジャーなチェーンだけでも:

Gong Cha(ゴンチャ- 台湾発よりオーセンティックだそう。)

Kung-Fu Tea(カンフーティー-香港発 飲茶+ハンバーガーも店によってはあり)

ViVi Bubble Tea(ヴィヴィバブルティー-ゴンチャと似たようなメニューながらポップ)

などあります。

 タピオカティーのバリエーションで、好みの甘いアイスティーにパールと呼ぶタピオカやココナッツやグラスジェリーの粒を入れて、好みのミルクとフレーバーを混ぜ、好みでトッピングするのが基本。もともと、年中春か夏の国がオリジナルなので冷たい飲み物です。チャイもフレーバーの一つとしてありますが、アイスチャイを期待すると裏切られます。
 伝統的なお茶も食事の時は飲まれてますが、スタバのラテのお茶版でこういうのが好まれているようです。でもシロップとか使ってるので、指定しない限りやたら甘いのが私には引っかかるんですが。
チャイニーズのビジネスでいまいち理解できないのは、なんで同じようなこと競って同じようなロケーションでやるんだろうってとこですね。上記以外にもチャイナタウンだけのお店には、似たようなのたくさんあります。

ゴンチャ
クンフー

 以上チャイとは少し離れましたが、お茶の発祥地の中国の伝統と今が混在しているNYのアジアンカルチャーワールドでした。

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[神原メモ]
 僕も中国茶は色々と研究しましたが、中国や台湾の人とお話をしたことがなくて、その点は少し残念に思います。ただ、本やネットで調べた結果ですが、お茶のいれ方について誰ひとりとして同じことを言う人はいなくて、場所(産地)や茶葉(品種)が違えばいれ方や飲み方が変わるし、道具も簡単な蓋碗(蓋付きの茶碗)から、上記の陳(Chen)さんの茶器のような複雑なものまで、多種多様です。この人達は、流行に左右されず、独自の方法で、お茶の良いところを抽出しようとがんばっている、その姿勢が美しい(&楽しい)と思いますね。
 時にはタピオカティーのようなものも気分転換には必要ですが、そればっかりでは味覚が衰退してしまいます。僕の経験では、カンテで紅茶の味が分かるようになるまでに最低でも1年はかかりました。中国茶もチャイも同様に時間はかかります。「わかった!」と思ったり「いや、違う!」と思ったり。そこがお茶の面白いところでもあります。学生の頃、「紅茶はリプトンのティーバッグで十分」だと思っていた自分が恥ずかしい。

 

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