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Question:(初出:「お茶のこととかのQ&A」2005年)

中国広州に仕事で赴任中のヒガさんから質問がありました。

「あのですねえ、お茶の金額表のとこを見たんですが、アールグレイって、中国茶なんですか?
ちなみに、台湾で飲んだアールグレイは、『伯爵紅茶』でした。」


Answer:

ヒガさん、こんにちは。

アールグレイは(厳密には)中国茶ではありませんね。ですので、金額表は直しておきました。でも、なぜ、中国茶のコーナーにアールグレイがあったのかというと、少し説明が長くなりますがお話しましょう。

カンテのメニューではアールグレイが十何年にも渡って中国茶に分類されていたことがあります。それにはふたつの理由がありまして・・・

ひとつには、カンテが扱っているアールグレイの原料には中国産の紅茶が使われている、ということ。だから中国茶に分類してもいいじゃん、という単純な理由。
もうひとつは、アールグレイの誕生にまつわる歴史によります。

1830年代、中国に外交使節として滞在していたイングランドのグレイ伯爵が、中国で聞いた、紅茶に着香する製法をロンドンの紅茶商ジャクソン社に教えたことから始まります。(ネット上に説明がありました。→こちら

伯爵のことを英語でEARL(アール)というので、アール・グレイというわけですね。
もともと英国人のシノワズリー(中国趣味)としてできた商品なので、カンテとしてもアールグレイをラプサン・スーチョンと同じようにストレートで出して中国茶っぽい雰囲気で飲んでもらおうということで、中国茶に分類していた、というわけですね。

しかし、中国茶が一般的に根付いている今、「アールグレイは中国茶だ!」というカンテ独自の見解がシャレにならない時代になってきた、ということもあって、「フレーバー・ティー」のコーナーに移動させた次第です。

ですから、以前はカンテでは中国茶用のポットに、濾したアールグレイを入れて、さらに中国茶用のカップで出していたりしたこともあります。

ところで、問題は、グレイ伯爵が飲んだ「着香した紅茶」とはどんなものだったのでしょうね。現在のアールグレイの香りは、地中海原産のベルガモットという柑橘類を使用しているはずなので、当時の中国にはそういう果物はなかったはず。着香の製法を学んだけど、その香りと同じ物をヨーロッパで見つけるのは難しく、ベルガモットが一番最適だった、とそういう事でしょう。

ある中国系の人が書いたお茶の本を読むと、ヨーロッパのメーカーが販売しているアールグレイは、現在では中国で生産された紅茶をヨーロッパに運び、ベルガモットから抽出された香りの成分を(霧状に)スプレーして香りを着けている、と書いてありましたね。

ということは、別のフレーバーティー(オレンジティーとか)もたぶんそうやって作ってるんでしょうね。







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