03・・・台中・梨山茶(ニセモノ?)


埔里で紅茶をゲットし、いい気分で南投県の盧山温泉へ。埔里から盧山温泉へはクルマで45分くらい。途中、ヒット映画『セデック・バレ』でも有名な霧社事件の現場、霧社も通る。

この界隈には何度も行っているが、神原さんからの話を聞くまで、この南投県が台湾茶の生産量1位の地とは知らなかった。実際、界隈にはお茶屋さんが少なく、今回も省道沿いを散策しながら走ったが、それらしきものは見つけられず、アッという間に盧山温泉に着いた。

盧山温泉は、山奥の小さな温泉街だが、そこに1軒だけ、いかにも観光用のお茶屋さんがあり、以前買ったことがあった。そのお店に行けば、神原さんに喜んでもらえそうなネタがあるだろう...と思ったが、長時間ドライブで疲れていたので、夜まで温泉と酒を楽しむことにした。

が、これが良くなかったのか、ものすごく酒に酔ってしまい、その状態でお茶屋さんへと向かった。果たして、以前と同じ場所にお茶屋さんがあったが、お店のオバサン、こっちが酔っていることを察してか、ものすごいハイテンションで話しかけてくる。しかも、日本人と知り、とても流暢な日本語で話しかけてくる。

余談だが、台湾では山奥に行けば行くほど日本語が通じる場合がある。山は原住民族が多く暮らすが、原住民の他部落との交流は、いまだに日本語で交わされているケースもあるという。

ここ盧山温泉は、日本人旅行者はあまり来ない場所なので、観光客向けに日本語を操っているというより、やはりネイティブな伝承によって、このオバサンは日本語を話すようだ。
 しかし、その話がどうもウサン臭い。「今日、私の友だち日本人遊びにここ来る! 新宿(の人)! その記念に安くする! だからアナタ買う!」。
しかし、このとき、すでに22時を回っており、盧山温泉まで来るための交通機関はなく、友だちの日本人がどうやってここまで来るのだろうか。
 ただし、そのオバサンがどこか憎めない感じだったことと、すでに僕はベロベロだったのでオバサンに言われるがまま購入。神原さんと僕用に、それぞれ1斤(600g)ずつ買い、計500元(約2000円)だった。

台湾茶のブランド、梨山茶とあるが、そのオバサンの口調からなんとなくニセモノのような気もする。

↑ベロベロに酔っていて写真を撮り忘れたことに気付いた帰り道。盧山温泉は本当に静かな温泉街。



  【3のお茶を飲んでの神原の感想】

   ★★★★★★★★★☆

こ、これは!・・・ニセモノでもなんでもない!・・・久しぶりに味わう台湾茶の感動!
5gの茶葉に150ccのお湯を注いで3分。グラスに注いだ色を見て、まずその透明感に感動!
そして、飲んでみて、その清々しさにまた感動!
僕の求めている台湾の烏龍茶のひとつがこれです。
茶葉も僕好みの色と形で、それほど深くない緑色と、小さく丸まった形状が美味しさを物語る。

写真では分かりにくいけど、茎も茶葉と一緒に丸められ、しっかりと堅い。

台湾産の烏龍茶の茶葉がなぜ丸いのかと言えば、広げた布に、適度に水分を飛ばしてしおらせた茶葉(しおらせる時間を変える事で発酵度が変わる)を集め、布をてるてる坊主のように丸めて何度も何度も揉み込むからです。
時々、布を広げて、固まった茶葉をほぐしまた丸めて揉み込む。この作業を経て、茶葉は発酵が進み小さく丸くそして堅くなるのです。この時間の長短によっても発酵度が変わります。

どんな茶葉なのか、三煎目を飲んだ後のポットを開けて茶葉を出して見てみたら・・・1芯3葉(一つの新芽と3枚の茶葉)あるいは1芯4葉(一つの新芽と3枚の茶葉)の茶葉が一つの茎に繋がったまま出てきた。
紅くなった葉がないことから、発酵度は低いと思われ、それが清々しさに繋がっているようです。

一番最初に飲んだ阿里山茶より、僕好みです。

ところで、松田君の勘違いだと思うけど、この梨山茶は100gしか入ってなかったので、それが二つで2,000円なら妥当な金額なのではないでしょうか?(僕も台湾での相場は知らないので分かりませんが。)

今度また台湾へ行ったら同じものを買ってきて欲しいと思いますが、たぶん同じものは手に入らないでしょうね。お茶は農作物だし、ワインと同じように出来不出来が顕著な飲み物ですから。

【3のお茶を飲んでの松田の感想】

★★★★☆☆☆☆☆☆

梨山茶は、台湾茶の中でも高級ブランドであり、台湾人でも入手するのは大変らしいが、何故かこの観光用お茶屋さんには、その梨山茶の缶が壁一面にズラリとあった。しかし、ニセモノということを差し引いても、味は別段悪いわけではない。ただ、やや渋みがあるような気もする。

【再度、神原から一言】

梨山茶の缶が壁一面にあっても、その全てに茶葉が入っているとは限りませんね。僕もそういうのやったことありますから。それと、三煎目のお茶をグラスに入れて、冷めてから冷蔵庫で一晩寝かせて飲んでみて下さい。おいしさ抜群ですよ。








まつだ・よしひと●1971年・東京生まれ。編集者、ライター、デザイナー。ハタチの頃、トータス松本氏に神原さんを紹介してもらって以来、神原さんに影響を受けながら、何かの折につけアレコレお願いをし今日に至る。著書に「台湾迷路案内〜ガイドブックにあんまり載らない台湾ディープスポット80〜」(オークラ出版)、「らくらく台湾一周旅行」(白夜書房)がある。共著に「日本人_天必_的24小時生活日語」「日語旅遊會話:聽&_自由自在」(ともに台湾・笛藤出版)がある。編集プロダクション・deco(deco-tokyo.com)代表。



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