05・・・産地不明・高山茶(重新橋・フリーマーケットで購入)
06・・・産地不明・老茶(重新橋・フリーマーケットで購入)



 盧山温泉から合歓山を超え、台湾屈指の景勝地・太魯閣を通り、花蓮へ。

 花蓮には僕の知人の家族(原住民族)がいて、夕飯を一緒に食べさせてもらい、翌朝には台北へ。「より変わったお茶を買ったら、神原さんは喜んでくれるんじゃないか」と勝手に妄想し、台北に着くなりすぐにフリーマーケットへ。

 台北のフリーマーケットはいくつかあるが、中でも地元の人たちで賑わう重新橋に行くことにした。フリーマーケットには、古着や、中古家電などと合わせて、食べ物屋台はもちろん、何故か床屋まで出店している。
当然、数々のお茶屋さんも出店しているが、その店構えは様々で、かなり値打ちのありそうなお茶屋さんから、いかにも叩き売りのようなお茶屋さんまである。

 値打ちっぽいお茶は、目利きでないとよくわからないので、いっそ一番流通度の高そうな簡易的なお茶を安く買うのが良いのではないかと思い、下手な中国語にも応じてくれた気さくなオジサンのお店で産地がよくわからない「高山茶」と書かれたものを購入。確かに安くて、1斤(600g)_4つで500元(約2000円)だった。

↑重新橋フリーマーケットの様子。お茶の試飲が出来るお店。


  【5のお茶を飲んでの神原の感想】

   ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

これも「ニセモノ」です。
茶葉の状態を見れば明らかで、これは緑茶の屑ですね、グズグズです。これを高山茶と言っちゃったら、高山茶の生産者が可哀想、ホント。

緑茶の工場から屑を拾い集めて来た感じ。

3g、150ccのお湯で3分蒸らしたらとても渋かった。次に、3g、300ccで1分にすると普通の緑茶の味になった。おいしくないけど。

お茶を買いに来てる人は、お茶の名前なんか気にしてないんだと思う。僕らが、スーパーに行って、100g200円の静岡煎茶を買うようなもんです。美味しくないのが分かってて買うのです。「もしかしたらおいしいかもしれない。」とか思って。飲んでみて後悔する。そんなお茶です。

【5のお茶を飲んでの松田の感想】

★★★★★★☆☆☆☆

盧山温泉の観光用お茶屋さんで買った、あの梨山茶や大禹嶺茶よりも、この産地不明の「高山茶」のほうが美味しい。さらに値段も約半額と考えれば、かなり良い買い物をしたと思う。




<産地不明の陳年老茶>

5を買った際、オマケでくれた「老茶」というもの。老茶の概念は、神原さんの解説を聞いてみたい。(松田)


それでは、解説をしましょう。(神原)

【陳年】とは、年を経る事。【老茶】は寝かせたお茶のこと。紹興酒や泡盛やウイスキーとかで、長い年月寝かせたものほど珍重されるのと同様に、お茶にも10年もの、20年ものと古ければ古いほど高価なお茶があります。
どんなお茶でも寝かせればいいというものではなくて、普通に製茶したら渋くて飲めないような緑茶を、蒸して固めて、温度管理のできる部屋で何年も寝かせておくと味がまろやかになるというものです。これを「後発酵茶(こうはっこうちゃ)」と呼びます。

緑茶は発酵を止めたお茶なのでこれ自体では発酵は進みませんが、空気中にある微生物によってジワジワと茶葉の発酵が進み、数年から数十年経つとあ〜ら不思議、おいしい黒茶のできあがり、てなもんです。

発祥は中国雲南省。このあたりで育つ茶葉は肉厚で揉んでも渋みが取れなかったんでしょうね、そのうちに「しばらく置いといたらおいしくなった」ことがあったんでしょう。それ以後、緑茶を寝かせるようになった。そのお茶は寝かせると緑色が深くなり、暗緑色から暗褐色になり、黒くなった。それで黒茶と呼ばれます。

しだいに黒茶がおいしいと評判になると買い手が増える。でも、黒茶は作るのに数年かかる。でも売りたい。じゃあ、ニセモノを作るべえ、と数ヶ月で作れる真っ黒なお茶を作った。それが今回の「正体不明の陳年老茶」です。
正確な作り方は知りませんが、噂によると、お茶に水をかけ、湿気のある部屋で強制的にカビを生やしたら、あ〜ら不思議、真っ黒なお茶のできあがり、てなもんらしい。

ちなみに、本物の黒茶を「生茶」といい、すぐに作れる黒茶を「熟茶」といいますが、中国人のすごいところは、その中間の「生熟茶」というのも作ってる。僕はどれも飲んだ事がありますが、やはり本物はおいしい。1980年ものは味がまろやかで、何煎でも飲めました。「生熟茶」もそこそこおいしい。

さて、今回のは・・・・というと、プーアール茶そのものです。おいしいプーアール茶もありますが、これはよくある普通のプーアール茶でした。


  【6のお茶を飲んでの神原の感想】

   ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

まず、香りが異常に臭い!今までに飲んだプーアール茶も臭かったけど、これはもっと臭かった。茶葉の色も毒々しいぐらい黒い。

僕はひじきが嫌いなので、それを連想させるこの色が嫌い。

飲んだら普通のプーアール茶でしたが、その昔、「大中」でも同じようなもの売ってましたね。ものは試しと買ってみましたが、それ以来プーアールは飲まなくなりました。以上。


【6のお茶を飲んでの松田の感想】
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(飲んでない)
このオマケのお茶は神原さんに差し上げて、僕はもらっておらず、飲んでない。

↑僕が買ったお茶屋さんはこちら。オジサンが気さくな人だった。わざわざ名刺をくれたりして、平日はきちんとしたお茶屋さんを営んでいるようだった。









まつだ・よしひと●1971年・東京生まれ。編集者、ライター、デザイナー。ハタチの頃、トータス松本氏に神原さんを紹介してもらって以来、神原さんに影響を受けながら、何かの折につけアレコレお願いをし今日に至る。著書に「台湾迷路案内〜ガイドブックにあんまり載らない台湾ディープスポット80〜」(オークラ出版)、「らくらく台湾一周旅行」(白夜書房)がある。共著に「日本人_天必_的24小時生活日語」「日語旅遊會話:聽&_自由自在」(ともに台湾・笛藤出版)がある。編集プロダクション・deco(deco-tokyo.com)代表。



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