【陳年】とは、年を経る事。【老茶】は寝かせたお茶のこと。紹興酒や泡盛やウイスキーとかで、長い年月寝かせたものほど珍重されるのと同様に、お茶にも10年もの、20年ものと古ければ古いほど高価なお茶があります。
どんなお茶でも寝かせればいいというものではなくて、普通に製茶したら渋くて飲めないような緑茶を、蒸して固めて、温度管理のできる部屋で何年も寝かせておくと味がまろやかになるというものです。これを「後発酵茶(こうはっこうちゃ)」と呼びます。
緑茶は発酵を止めたお茶なのでこれ自体では発酵は進みませんが、空気中にある微生物によってジワジワと茶葉の発酵が進み、数年から数十年経つとあ〜ら不思議、おいしい黒茶のできあがり、てなもんです。
発祥は中国雲南省。このあたりで育つ茶葉は肉厚で揉んでも渋みが取れなかったんでしょうね、そのうちに「しばらく置いといたらおいしくなった」ことがあったんでしょう。それ以後、緑茶を寝かせるようになった。そのお茶は寝かせると緑色が深くなり、暗緑色から暗褐色になり、黒くなった。それで黒茶と呼ばれます。
しだいに黒茶がおいしいと評判になると買い手が増える。でも、黒茶は作るのに数年かかる。でも売りたい。じゃあ、ニセモノを作るべえ、と数ヶ月で作れる真っ黒なお茶を作った。それが今回の「正体不明の陳年老茶」です。
正確な作り方は知りませんが、噂によると、お茶に水をかけ、湿気のある部屋で強制的にカビを生やしたら、あ〜ら不思議、真っ黒なお茶のできあがり、てなもんらしい。
ちなみに、本物の黒茶を「生茶」といい、すぐに作れる黒茶を「熟茶」といいますが、中国人のすごいところは、その中間の「生熟茶」というのも作ってる。僕はどれも飲んだ事がありますが、やはり本物はおいしい。1980年ものは味がまろやかで、何煎でも飲めました。「生熟茶」もそこそこおいしい。
さて、今回のは・・・・というと、プーアール茶そのものです。おいしいプーアール茶もありますが、これはよくある普通のプーアール茶でした。