台湾の烏龍茶には大きな流れが二つあり、一つは中国福建省の武夷山(ぶいさん)に自生していた烏龍種の苗を台湾に移植して品種改良していった流れと、もう一つは同じく福建省の安渓県から台湾に持ち込んだ鉄観音種の伝統的な製法の更なる進化の流れです。
前者は、凍頂山(とうちょうざん)に植えられ、品種改良と技術革新の末に後年「凍頂烏龍茶」として台湾烏龍茶の基本となり、高山茶へと続いています。
そして、後者は台北近郊の木柵の標高わずか300mのところに植えられ、「木柵鉄観音」として安渓の伝統的な製法を守り続けている烏龍茶なのです。
なので、茶葉を見てみると、凍頂烏龍茶および高山茶系の製法とは異なり、それほど丸まっていないのが特徴です。元来、烏龍茶という名前は「カラスのように黒く、龍の如くくねっている」ところから来ているのですからね。
味自体も、オーソドックスな昔ながらの烏龍茶で、香ばしい香りと適度なキリッとした渋みがあり、重厚な味わいがあります。