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【怪獣のルーツを探る】

「怪獣」という名前が一般化したのは1966年の「ウルトラQ」以降ですが、その12年前、1954年に公開された「ゴジラ」が最初にその言葉を使ったのかと思ってたらそうではなくて、その1年前に公開されたアメリカ映画「原子怪獣現わる」が最初らしい。ウィキペディアの「ゴジラ」の項、『企画が固まる以前』には、こう記されています。

「プロデューサーの田中友幸はアメリカ映画『原子怪獣現わる』をヒントに、恐竜型怪獣が暴れる映画を当初から構想していた。田中がすでに特殊技術で有名だった円谷英二にこの提案を持ちかけた時、円谷自身は〈インド洋で大蛸が漁船を襲う〉という怪獣映画を構想していた。
2人の間で討議がなされ、最終的には田中案に基づき恐竜型怪獣でいくことになったようだ。
また怪獣の描き方について、『キング・コング』に魅了されていた円谷はモデルアニメーションによる撮影に意欲を見せたが予算の都合で着ぐるみによる撮影に決定。その後も円谷はモデル(ストップ)アニメーションにこだわり続けたらしいが、結局のところ、当時あまり例のなかった着ぐるみ特撮による生々しい動きは、かえって評判を呼ぶ結果となった。」

ということは、どうやらこの文章に出てくる2本の映画が「怪獣」の原点のようですね。

で、最初の1本、「原子怪獣現わる」は未見なのですが、ポスター(DVD用)はネットに出てました。

「BEAST」というのは辞書では「けもの」と出てましたから、これは「獣(けだもの)」という意味でしょうね。「FATHOM」とは「尋(=6フィート)」だそうで、一種の単位のようです。つまり、「2万尋(12万フィート)の深海から現れたけだもの(怪物)」だと推測します。でも、絵だけを見たらトカゲですよね。深海の生物には見えません。
ウィキペディアによる解説ではどうなっているかというと・・・

「原子怪獣現わる(The Beast from 20,000 Fathoms)は、1953年に作成されたユージーン・ルーリー監督による白黒SF映画。「Monster from Beneath the Sea」としても知られる。
原作はレイ・ブラッドベリの短編小説「霧笛」(The Fog Horn)。特撮部分をレイ・ハリーハウゼンが担当している。小説ではリドサウルス(怪獣)は船の汽笛に反応して現れたとされているが、映画では水爆実験によって復活したという設定になっている。
この作品は、翌年に公開された『ゴジラ』に多大な影響を与えたことでも知られる。」

特撮を担当したレイ・ハリーハウゼンの師匠が、なんと「キング・コング」の特撮を担当したウィリス・オブライエンなのだ。

では、「キング・コング」というのはどういう映画なのかというと・・・

『キング・コング』(1933)

洋書「MONSTERS of the MOVIES」より

「アメリカ映画。RKO製作。上映時間100分。劇場公開は1933年4月7日、日本公開は同年9月14日。文明社会に紛れ込んだ怪物キングコングが大暴れする。美女アンを片手に持ってエンパイア・ステート・ビルに上る姿が特に有名。」

洋書「MONSTERS of the MOVIES」より

「この映画におけるキングコングは、恐竜などが生息する南洋のドクロ島(Skull Island)から見世物にされるためにニューヨークに連れて来られた、身長24フィート(7.2メートル)の巨猿。

当時はターザン映画を始めとするジャングルを舞台とした秘境冒険映画、実写の猛獣映画が盛んに作られており、本作でもその趣向が大いに取り入れられた。
ウィリス・オブライエンによるストップモーション・アニメが非常に有名であり、レイ・ハリーハウゼン等、数多くの著名モンスターメーカーを生み出している。また、本作は世界初のトーキーによる怪獣映画としても知られる。
円谷英二が特撮監督になることを志すきっかけとなった作品でもある。」(「ウィキペディア」より)



この映画はテレビで何回も観ているし、僕の大好きな映画でもあります。最初のキング・コングは1コマずつ動かして撮影された人形だったけど、1976年にリメークされた「キング・コング」は着ぐるみで、造形を担当した(特殊メイクの天才)リック・ベイカーがスーツアクターとなってコングを演じたそうですが、これは趣味ですよね、たぶん。
そして、最新版「キング・コング」(2005)は、1933年の第1作に感銘を受け映画監督を志したというピーター・ジャクソンが「ロード・オフ・ザ・リング」で儲けたお金をすべてつぎ込んで監督したという気合いの入った作品。着ぐるみとCGを組み合わせて、超スリリングなエンパイアステートビル登頂シーンを見せてくれました。

しかし、キング・コングを怪獣というにはちょっとニュアンスが違いますよね。やっぱり「怪物」どまりでしょう。単に猿が巨大化したものだから、ゴジラのように特殊な能力を持っているわけではない。
日本で流行った怪獣というのは、必ず火を吐いたり、特殊な光線を出したり、動物の延長としてではないような荒唐無稽な生物として認識されているように思います。

ところで、このキング・コングとゴジラを闘わせようと思いついて作ったのが、映画「キングコング対ゴジラ」(1962)で、先日DVDを借りてきて観てみました。(ちなみにこのゴジラ映画、3作目なんだけど2作目との間が7年もある。その7年の間にシリアスドラマからコメディ映画に変わっているのが面白い。)



ネット上にあったポスター3種


キング・コング登場のストーリーは、ほぼ1933年の「キング・コング」からのパクリというかオマージュで、島から東京にいかだで運ぶというのも本家を真似ています。途中でキング・コングの麻酔が切れて暴れ出したのでいかだを爆破すると、海に投げ出されたキング・コングが立ち上がるシーンがありますが、海が浅すぎるぞ!

洋書「MONSTERS of the MOVIES」より

横長のシネマスコープサイズで観る2大怪獣?の対決は、まさに古くさいプロレスです。
去年「ナチョ・リブレ」というメキシコのプロレスラーのコメディ映画がありましたが、あんな感じですね。

さて、「ゴジラの逆襲」で北海道沖の氷山に氷詰めされたゴジラが北極海で復活すると、帰巣本能によって東京に向かって最初に上陸したのが宮城県の松島。そこから歩いて東京まで来たらしいけど、何時間かかったんだろう?






2008

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