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(初出:「お茶のこととかのQ&A」2004年)

僕は時々、カンテのアルバイトの人達に向けて「お茶の講習」をしています。自分のやってることが正しいのかどうかの確認とお茶に関するネタ探しには最適だからです。

誰でも自分のやってることが一番だと思いたいのですが、必ずしもそうだとは限りません。お茶のことを長年やっているとそれなりの知識も貯まってはきましたが、それは偏った情報かもしれないし、間違って理解しているかもしれないのです。特に僕は、「早とちり」なので、僕の話を聞くときは注意が必要です。(笑)

そんな僕が久々にカンテ以外での「お茶の講習」に出かけることになり、準備のために基本的な事項のおさらいをすることにしました。そのひとつとして、ここで以前載せていた「Tea Break」の記事を再録します。「いつか何かの役に立つ」ことを願って。




紅茶用語集(「現代紅茶用語辞典」参照)

●水色(すいしょく)・・・カップに注がれた紅茶の色を指します。

●オレンジ・ペコー(Orange Pekoe)・・・ペコーは白いうぶ毛のついた茶の芯芽を意味する白毫(ぺっほう)がヨーロッパに紹介されたときになまったもの。オレンジ色の芯芽が多く入ったお茶は香りがよく珍重されたので、上級茶にこの名前が使われましたが、今ではサイズ(7〜12ミリ見当)を示す専門用語になった。
 でも、実際は、細かい葉っぱでもこのオレンジ・ペコーと名前を付けられた缶入り紅茶を見かけるので、ややこしい。また、果物のオレンジを使っているわけではありません。

●ポットのための一杯(one for the pot)・・・おいしい紅茶をいれるためにイギリスでいい慣らされたコツのひとつ。これは、濃くいれたお茶は薄めることはできるが、薄くいれてしまったお茶は濃くすることができない、という生活経験から考えられたもの、らしい。
 標準的な茶葉の量は、150ccのお湯(カップ1杯分)に対して一人分ティー・スプーン一杯(約3グラム)。ポットのための一杯は基本的には必要ないが、1杯作るより2杯作った時の方がおいしく感じるので、最低でも2杯分は作った方がいいと思います。

●クリーム・ダウン・・・アイス・ティーを作ったときに、紅茶に含まれるタンニンとカフェインが、温度が下がることによって結晶し、白く濁ること。味や品質に問題はないが、見た目にきれいではない。
また、濁らないように作るには、タンニンやカフェインの少ない茶葉を選べばいいです。たとえば、セイロン紅茶は比較的タンニンが少ないので、アイスティーに向いているようです。




紅茶にハチミツを入れると黒っぽくなる

これは、ハチミツに含まれる鉄分と紅茶のタンニンが結合するため。

だから、鉄分を除いたハチミツやアカシヤのハチミツなどを使えばいいそうです。紅茶をいれる時には鉄製のやかんやポットの使用をさけましょう。




どんなお水で紅茶をいれる?

ある雑誌で「紅茶に合うのはどんな水?」という記事があり、ミネラル・ウォーターと水道水を使って紅茶をいれて、味を確かめていました。

ミネラル・ウォーターには硬水(硬度357以上)軟水(硬度178以下)のを使っていましたが、やはり水道水でいれた紅茶の方がおいしかったみたいで、「水道水は、絶えず流れている水ですから、酸素が多く含まれています。その酸素がポットの中で対流を起こしお茶の葉を開かせ、やわらかでおいしい紅茶をいれられるということです。」という結論でした。

ちなみに、日本の水は軟水、ヨーロッパの水は硬水です。硬水でお茶をいれると水色が黒っぽくなります。




猿に摘ませたお茶

その昔、一年中適温と雨があり、しかも冷涼な武夷(ぶい)山を住み家として野猿が群れをなして生活していたといわれ、この猿を使って人間が採取不可能な断崖絶壁の岩のすき間に自生する茶を摘ませ、その茶で作ったお茶を「猿猴(えんこう)茶」といった。

4〜5月の新茶シーズンが近づくと、猿を果物で呼び集め、茶摘みのトレーニングに入る。猿の首に茶摘み袋をかけ、人間も同じスタイルをとり、茶の木から適当な葉を摘んで袋に入れる動作をしてみせる。茶摘み時期がきて、猿を一斉に山に放すと、彼らは首に袋をかけ、岩山めがけてよじ登り、茶の葉を摘んで戻ってくるという仕組みである。しかし、大体、7割の確立で帰ってはくるが、あるものは袋をかけたまま山奥に逃げ帰ったらしい。

やがて、茶摘みシーズンが終わると、猿を山野に帰すが、山に帰ると同時に茶摘みのテクニックも忘れ去り、次のシーズンには再び同じトレーニングから始めることになるという。(中国の昔話)




シノワズリー

っていう言葉を聞いたことがありますか?これは、17〜18世紀にヨーロッパの王侯貴族の間で流行った中国趣味のことをいいます。

西洋の人が東洋、特に中国や日本にたどり着いたとき、自分たちと全く違った文化がそこにあったのです。そして興味をそそられました。そして、自国にその文化を持ち帰ったのでした。当然のように、王侯貴族たちはこぞって東洋の文化を生活に取り入れようとした結果、中国風デザインが大流行したのです。室内装飾、家具、食器などに中国をモチーフにしたデザインが施されました。そこにお茶もあったのです。最初にヨーロッパに届いたお茶は日本茶と茶器でした。







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