<インド・ネパールの旅 1990>
インドでの買い付けの仕事はきっちりとした「休み」というものがなく、あたふたと毎日が過ぎていましたが、ネパールに入ると、拠点の宿はあるし、工場も近いし、生地屋さんもカトマンズ市内か古都パタンのお店しかないし、一通り見ればあとはのんびりと休日を取る事ができました。休みの日は「撮影に出かける」ということもあり、木村さんとも別れて、一人でその日はパタンまで足を延ばしてみました。
パタンの町の少し手前でタクシーを降り、田舎の山道をひとりで歩いていると小さなお寺が見つかりました。階段を登って中を覗くと、おっちゃんがひとり座っていました。僕と目が合うと手招きするので中に入り、会話もないまま壁にかけられた宗教画をひととおり見終わった後、「撮影してもいいですか?」と訊いてからそのおっちゃんを撮りました。なんだかウチの親父に似てたのが印象的でした。
お寺を出てあちこち歩いていると、子供達に出くわしました。どこでもそうですが、子供達はカメラを持ってると必ず寄ってきてカメラの前でおどけたり、はしゃいだりします。その日も、子ヤギを腕に抱えてみたり、友達をどついてみたり。
ほとんどの子供は鼻を垂らしていたり、着ている服に穴が開いていたり、土ぼこりで白くなっていたりしましたが、この写真のふたりは妙にこぎれいでした。
なんだか、フランス映画に出てきそう、というのは言い過ぎでしょうか?(もちろん言い過ぎです!)