カンテ写真部

その24

photo & text : kanbara



<インド ベナレス ガート付近 1990>

4年ぶりに再会したヴィシュナート。これは家に招かれた時に撮影したもの。
彼の家はガンジス川の見えるところにありました。
右奥に隠れているのは娘さん。ヴィシュナートにそっくりでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼のポーズが壁に描かれた絵や文字と相まって、すごくアーティスティックな写真になっています。久しぶりに見て「これ面白い。」と思ってしまった。そういうのを狙って撮ったんでしょうね、たぶん。思い出せませんけど。
しかし、ボートマンとは思えないかっこよさです。
ところで、彼は気取って何を飲んでいたんだろう?ラッシーかな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先日、森川君と話をしていた時、「ヴィシュナートの家で飲んだチャイはまずかった。」って言ってましたね。
僕もチャイはごちそうになったけど、味までは覚えていないです。おいしくなかったのかも(笑)。

「ところで、インドで一番最初に飲んだチャイはどこ?」って訊いたら、

「NPの仕事で行ったカルカッタです。あそこのチャイがまずかった。カンテのと全然違ってたのでビックリしましたね。何が違うのか分からなかったですけど、まずかった。」

「じゃあ、スパイスチャイで好きなのは何?」

「カルダモン・チャイですね。ホール(実)の入ったやつ。ベナレスだったかな、すごくおいしくて、インパクトありました。それ以来、スパイスチャイと言えばカルダモン、ぐらいの勢いです。」(だから、うつぼ公園店のカルダモン・チャイはホールのカルダモンを使っています。他の店はパウダーだけど。)

「やっぱり、出会いの衝撃度によって、好きなチャイとかスパイスとか決まってくるんじゃないかな?
僕はインドへ行く前に、スリランカで初めてジンジャーのスライスとカルダモンのホールが入ったチャイを飲んで、カンテのと味は違ってたけど違和感なかったから、ジンジャーチャイとか好きですね。
あと、カルダモンはスリランカで採れるから、地元の人は日常的にカルダモンに親しんでて、知り合ったスリランカ人が口をモゴモゴさせてたので、『何食べてるの?』って訊いたら『お前もたべろ』とか言われてカルダモンを渡された事があった。口寂しい時にカルダモンを噛むんだって。
で、その時噛んだカルダモンの味は悪くはなかったけど、今食べてみると結構苦い。
この間、中津の新人の子に食べさせたら、いやそうな顔してた(笑)。
ま、18歳の子にはちょっとキツかったかな。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この写真、一番最初にDPEでプリントしたときは舟と人が黒くつぶれてシルエットになってて、なんだかよくあるシーンだな、ぐらいにしか思ってなかったんだけど、自分でレタッチしてみたらけっこう暗い部分も起こす事ができて大分改善できたし、なによりこの薄い黄金色が素晴らしくきれいに仕上がったな、とうれしくなりました。
だから写真は面白い。

サンダルを履いた足や波紋が動いて見える!のは僕だけかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ところで、カンテのチャイは「ベナレスのチャイの味に近づけている。」とは井上さんの言葉なんだけど、それなら、ベナレスで売ってるチャイ用の茶葉を使っているのかというとそうではなくて、スリランカの低地産の茶葉を使ってるんですね。なぜそんなめんどくさいことするのか。それにはカンテの歴史に理由があります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カンテはその昔『紅茶専門店』だったのです。紅茶しかなかった。(今ではコーヒーやソーダなんかもありますが。)

紅茶がおいしいと感じるには、味と香りのバランスが大切で、ポットでいれるセイロン紅茶やダージリン紅茶がおいしいのはやはりそのバランスがいいからですね。それともうひとつ、ロケーションがあります。カンテで紅茶を飲むとおいしい、と言う人は何人もいます。

インドのベナレスで飲むチャイは、それと同じく「味とロケーション(雰囲気)がいい」んだと思います。香りがどうのこうのという段階ではなくて。チャイを飲む行為それ自体がおいしい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なぜ犬がこんなところに?








表紙へ


" New Canbara Magazine " copyright (c) 2015 All rights reserved.