紅茶の講座 14



紅茶に合う水


結論から言うと、「紅茶には普通の水道水がいい」ということです。
それがなぜかを、これから少しずつ説明していきましょう。’(長いですけど)

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紅茶がおいしく感じられるのは、味と香りがあるからですね。時々、味も香りも全くない紅茶を飲んだりしますが、それは元々の「茶葉」のせいだったりします。

でも、誰かにいれてもらった紅茶がすごくおいしくて、その茶葉を分けてもらって自分で入れても、全く「あの時」の味にならなかったりします。茶葉は間違いなくおいしいものだと分かっているのに、おいしくいれられない、これはなぜでしょう。
ひとつには、紅茶に合う水を使っていなかったから、ということが考えられます。

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【軟水と硬水】

「水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれていて、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を「硬度」といいます。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」といいます。

簡単にいうと、カルシウムとマグネシウムが比較的多く含まれる水が硬水になります。東京の水道水の硬度は60mg/l前後で軟水に、エビアンの硬度は304mg/lなので硬水になります。また、一般的には、硬度0〜100mg/lを軟水、101〜300mg/lを中硬水、301mg/l以上を硬水に分けられます。
見た目は同じですが、まろやかに感じたり重々しく感じたり、水にも風味があるのはこのため。成分の違いから、一般的に軟水は口当たりが軽く、硬水はマグネシウムが多いほどしっかりした飲みごたえを感じるようです。」(エビアンのサイト)

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紅茶をいれるには「軟水がいい」と言われています。

「軟水」とは、ミネラルの含有量が少ない水のことです。

【ミネラルとは?】

ミネラル(無機質ともいいます)には、カルシウム、鉄、ナトリウムなどがあります。必要な量は少ないのですが、人の体の中では作ることができないので、食べ物からとる必要があります。ミネラルは、骨などの体の組織を構成したり、体の調子を整えたりする働きがあります。
地球上に存在する元素のうち、水素、炭素、窒素、酸素を除いたものをミネラルといいます。(農林水産省)

カルシウムは紅茶に含まれる味や香りの成分(タンニン)の抽出を妨げるので、これが「軟水がいい」と言われる理由ですね。一部の地域(沖縄および九州の一部)を除いて日本の水は軟水なので、日本は紅茶を飲むのに適した国だと言えます。

「欧州は概ね硬水の国が多い。その理由は、欧州の地下水や河川水は、石灰質の豊富な地層を、時間を掛けて流れてくるため、ミネラル成分が水に溶け込んで硬水になります。日本では、川の流れが急で河川も短いことから、水に溶ける成分が少ないとされています。一般に、石灰岩の多い地域では硬水に、花崗岩や片麻岩、玄武岩の多い地域では軟水となります。」(ドイツ・ニュースダイジェストより)

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では、日本の水なら「ミネラル・ウォーター」でもいいのかというと、ちょっと違います。

【ミネラルウォーターとは?】

簡単に言うと、「容器入り飲料水のうち、地下水を原水とするもの」です。

参考までに、サントリーの天然水のうち、「阿蘇の水」の硬度はおよそ80。「南アルプスの水」の硬度はおよそ30。「奥大山の水」の硬度はおよそ20。(サントリーのHPより)

これだけみると、紅茶に最適なように思えますが、紅茶にはもうひとつ必要なことがあるのです。

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水を沸かしてポットにお湯を入れた時に、紅茶の茶葉がお湯によって対流を起こし、茶葉に含まれている可溶成分がうまく溶け出すのを助けてくれるのですが、この時に必要なのが水に含まれる酸素なのです。つまり、水の中に酸素がないと対流が起こらないのですね。

しかし、ペットボトルの水には、酸素が足りないのです。

「一般に使用されるペットボトルは、酸素がペットボトルを通過して内容液を酸化することから、おいしさやビタミンCなどの栄養成分がガラス瓶や缶などに比べて、早く失われます。」(ポンジュースのHPより)

つまり、運搬中に酸素は抜けていっているということですね。

じゃあ、地下水なら運搬しない井戸水がいいのかというと、これも当てはまりません。良質の地下水が眠っている場所まで深く掘った井戸なら大丈夫でしょうけど、一般的には飲用には向いていないでしょう。

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以前の水道水は、カルキ臭がきついとかで僕の家でも浄水器を付けていましたが、最近は浄水技術が発達して、水道水そのままでも何の問題もなくおいしい水が飲めるようになりました。ただし、朝一番の水は水道管に溜まった古い水なので、蛇口をひねり、手を水に当てて冷たくなってからの水を使うようにしましょう。

もし水道水がおいしくないと思われるのなら、ブリタのような浄水器を使われてもいいと思います。僕も数年前までブリタを使っていましたが、今はそれも使っていません。

というわけで、「紅茶には日本の水道水が向いている」というお話でした。

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ちなみに、紅茶大国:イギリスの水は硬水ですが、硬水には硬水なりの紅茶のおいしいいれ方があって、「1for the pot」という風にひとさじ多めに茶葉を入れたり、抽出時間を長くしたりすることで、味わいを極めていったのでしょう。

その昔、紅茶を飲み始めの頃、ダージリンの缶に「5分蒸らして」と書いてあったので、その通りにしたら、飲めないぐらい渋い紅茶ができあがり、「何で5分なんだろう?」と不思議に思った事がありますが、硬水では5分必要なんだと今では分かるようになりました。

(神原)


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