紅茶の講座 11


いつも僕を支えてくれるお茶の本

ちょっと大げさですが、僕を紅茶の世界に引き込んだ本、それが「茶の世界史」です。

1980年、僕が25歳の時にカンテ・グランデと出会い、紅茶のおいしさに目覚めた僕は、少しずつ紅茶の勉強をするようになりました。カンテにあった数冊の紅茶の本を読むことを手始めに、仕事仲間の人たちと紅茶を囲んでのお茶談義、それではもの足らなくて、紅茶の特集をしている雑誌があれば買ったりと、日々紅茶のことを知ることが楽しかった。そんな時、カンテに紅茶を卸していたMさんから紅茶の本を貸してもらった中に「茶の世界史」がありました。

紅茶の飲み方が分かると、次はそのルーツが知りたくなります。紅茶のルーツは中国の緑茶だということは仕事で知りましたが、それがどういう形でヨーロッパに運ばれ、どういう経緯で今の自分がそれを飲んでいるのか、詳しいことは雑談をしているだけでは分かりません。それが、この本を読めば(ある程度)分かったのです。

昔、ヨーロッパには「大航海時代(15世紀〜17世紀半ば)」というのがありました。新天地を求めて大規模な航海が行われた時代、西洋と東洋の出会いの時代。それまでハーブのお茶しか持っていなかった西洋とお茶を文化にまで昇華させた東洋との出会いがこの本には書かれているのです。なんとも壮大な(ある意味ファンタジーな)話が、僕の想像力を掻き立てました。

東洋航路を初めに開いたのはポルトガル人でしたが、ヨーロッパにお茶を運んだのはオランダ人でした。そのお茶は「日本の緑茶」だったのです。という、なんとも意表をつく話からこの本は始まります。


さらに、この本には興味深い次のような内容が書かれています。

・オランダからイギリスに運ばれたお茶(日本と中国の緑茶)の話。

・イギリス人が緑茶から紅茶へと移行した経緯。

・東洋のお茶の文化がなぜヨーロッパで花開いたのか。

・イギリス東インド会社が仕入れていた中国茶リストの資料解説。

・「中国の紅茶」をもとにして「イギリスの紅茶」ができるまで。

・イギリスの紅茶が世界に行き渡った理由。

・日本も紅茶を作り、世界進出を試みたことがある話。

著者の角山栄さんは、70冊以上の参考文献(洋書も含め)を元にこれらのことを調べ上げ、ある程度の紅茶の知識と興味さえあれば非常に分かりやすく読めるし、時間を置いて何度も繰り返し読むことで、また新たな発見があったりします。

あなたがもし、僕のしゃべっていることに興味があるようでしたら、一度本屋さんでこの新書を手に取ってパラパラと読んでみてください。あなたの知らない「お茶の世界」が広がるはずです。

でもまあ、本を読まなくても大丈夫ですけどね。
僕の「チャイのワークショップ」に参加してくれたら、要約してしゃべってあげますから。


(神原)


追伸:

この新書の初版は1980年の12月になっています。
僕は「カンテ・グランデ」に1980年の6月に入り、紅茶の基本的ないれ方を覚えた1年後、この本と出会うことになったというのは、なんだか必然のように思えてなりません。




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